目次
FIIO KA5の実機レビューです。このレビューではFIIO KA5とQ11の比較や他メーカーのドングル型DACの比較を行なっていきます。またレビューだけでなく、機能や操作方法、PS5との接続方法についても解説します。
レビュー総括(Summary)
総括です。FIIO KA5はドングル型DACとしてミドルクラスに位置し、同価格帯の中で豊富な機能が特長です。個人的にはドングル型DACという性質上、各製品でサウンドの差別化が難しいと考えています。FIIO KA5はサウンド面も優れていながら、機能面で優れたドングル型DACとして魅力的な製品となっています。
Pros
- 実用的な機能が豊富
- ポップノイズが改善され、ほぼ無し
- ホワイトノイズも無し
- 綺麗でいて少し艶のあるボーカル(密度が少しある)
- 刺さりにくい高域
- 相対的に解像度、音場の広さは十分
- イヤホンとの相性を選ばない
Cons
- 低域の制御がやや不十分
- W2-131との比較では今一歩、足りず(詳しくは後述)
初めに:FIIOについて
FIIOを初めて耳にする方向けに公式の会社概要を以下の通り、意訳して抜粋します。すでにご存知の方は読み飛ばしてください。なお、社名の表記が「FiiO」から「FIIO」に変更されました。
FIIOは2007年に中国で設立されたオーディオメーカーです。デジタルオーディオプレイヤー(DAP)、イヤホン、多種多様なポータブルオーディオ製品を自社で研究開発、生産し、グローバルに販売をしています。ブランド名である「FIIO」は、Fi (Fidelity) と iO (1 and 0)に由来し、デジタルが生活に与えるよりリアルな体験とより便利な生活を意味しています。また中国語では「飞傲」と表記し、これは「FIIO」の音訳であり、春のような活気と青空に飛び立つ積極的な進歩と常に革新を続ける企業精神を象徴しています。FIIOはユーザーの声を非常に重視し、製品設計を絶えず改善し、消費者により多くの良質で高付加価値の製品を提供するための努力をしています。
FIIOのビジョン:中国製の評価を高める
https://www.fiio.com/About_FiiO
FIIOのブランド精神:オーディオは無限である
FIIOのビジネスは「オーディオ」に関する製品やサービスを提供することで、無限の楽しみのある「オーディオエコシステム」を構築することです。FIIOは高品質なオーディオデバイスを販売するだけでなく、FIIOが提供する製品やサービスを通じて、ユーザーに喜びを感じてもらうように努力をしています。
海外メーカーというとサポート面を不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。中国FIIOへ直接問い合わせをしたこともあり、対応はとても良いです。日本メーカーのようにその場でサポートということは難しいかもしれませんが、真摯に対応してくれるメーカーですので安心してご検討ください。さらにFIIOはWeiboという中国SNS上で担当者が日々、ユーザーと意見交換をしています。また製品開発過程においてアンケートも実施していて、ユーザーに寄り添った製品開発を行なっています。
発売日・価格
発売日:2023年4月21日(中国3月16日) 価格:2.2万円(799元)
FIIO KA5は豊富な機能を持つスペックに対してリーズナブルな価格を設定となっています。そしてサウンドも決して妥協はしてしていないため、同価格帯のドングル型DACでは豊富な機能という高い優位性を持っています。
スペック表(KA3との比較など)
FIIO KA5の属するドングル型DACの製品群には、KA1、KA2、KA3があります。下記の表は簡単な比較表です。FIIOがドングル型DACを初めて発売したのはKA3で発売は2021年です。このドングル型DACというカテゴリーにおいてFIIO後発組となっています。そしてFIIO KA5はFIIOのドングル型DACの中で、発売日時点では最上位機種となりますが、今後さらに上位機種(フラグシップ)となるKA17が発売予定です。
製品名 | KA5 | KA3 | KA2 | KA1 |
発売年 | 2023 | 2021 | 2022 | 2022 |
価格 | 22,000円 (中国799元) | 16,500円 | 9,900円 (Type-C) | 7,920円 (Type-C) |
DAC① | CS43198 | ES9038Q2M | CS43131 | ES9281AC PRO |
DAC② | デュアル | シングル | デュアル | シングル |
ディプレイ | あり | なし | なし | なし |
操作ボタン | あり | なし | なし | なし |
出力端子 | 3.5/4.4 | 3.5/4.4 | 4.4 | 3.5 |
最大出力 | SE 122mW BAL 265mW | SE 130mW BAL 240mW | 153mW | 45mW |
ケーブル | 取り外し可能 | 取り外し可能 | 取り外し不可 | 取り外し不可 |
サイズ (縦向き) | 縦56.3*横22*高12mm | 56.3*20.2*12mm | 40*15*12mm | 40*15*8mm |
重量 | 19g | 17.5g | 12.3g | 10g |
対応 | PCM768kHz/32bit DSD256 | PCM768kHz/32bit DSD512 | PCM384kHz/32bit DSD256 | PCM384kHz/32bit DSD256 |
アプリ | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
主な特徴
- DACチップ「CS43198」
- 3.5/4.4出力
- OLEDディスプレイ、操作ボタン搭載
- HIDボタンモード、ハードウェアミュート(H-DEPOP)など既存のドングル型DACにはない設定も含めた13の設定が可能で豊富な機能を備える
- UAC1.0に切り替え可能で、Switchなどのゲーム機にも対応
- FiiOコントロールアプリ対応
- 最大出力265mW(32Ω・バランス)
- SN比124dB(32Ω・シングルエンド)
- ノイズフロア <1.8μV(バランス)
- 出力インピーダンス 0.35Ω(バランス)
- THD+N <0.00037%(32Ω・バランス)
FIIO公式によるKA5のCG動画
構造がわかりやすいです。
同梱物
FiiO KA5の同梱物は次のとおりです。
・KA5本体
・Type C to Lightning
・Type C to C
・Type C to A変換アダプター
・説明書等の書類
Q11と異なり、USB Aは変換アダプターとなっています。それでもLightningケーブルも付属していて、必要な付属品はすべて揃っています。
機能・操作の解説
機能の解説
KA5の設定から説明していきます。次の三つの写真はFiiO KA5と接続したときのFiiOコントロールアプリの設定画面です。
KA5の設定一覧と簡単な説明は以下の通りです。またこれらの設定はKA5本体からも設定が可能です。
・SPDIF OUT:ON/OFF
→ONにすることで3.5mmの光デジタル出力が可能となります
・ハードウェアミュートスイッチ:ON/OFF
→新機能で、ONにすることでサンプルレートが異なる曲に切り替える際に発生するノイズをミュートにすることが可能となります。ただし代わりにポップノイズが発生する場合があるため、好みでON/OFFを選択することになります。
*この機能の英語名は「H-DEPOP」のため、日本発売時には日本語名に変更があるかもしれません。
・画面の回転:ON/OFF
→KA5本体のディプレイの上下が回転します。
・ボリューム調整モード:120A / 60B
→これも新機能で、ボリュームのステップ数が120段階と60段階で選択できます。
・ゲイン:Low / High
→通常のゲイン切り替えと同様です。
・DAC動作モード:Class AB / Class H
→新機能で、静止電流の設定となり、Class Hモードは、Class ABモードに対してデバイスの静止電流が約8mA低くなるようです。これは端的に言えば、Class Hモードが省電力モードということになります。
・HIDボタンモード:A / B
→新機能で、後述しますが、KA5本体の操作キーの押下時の挙動が変わります。
・OLEDタイムアウト時間:OFF〜60秒
→KA5本体のOLEDディスプレイの表示時間です。
・画面明るさ調整:10段階
→KA5本体のOLEDディスプレイの明るさ設定です。
・ボリューム
→本体だけでなく、アプリからもボリュームレベルを設定できます。
・LRバランス
→一般的なLRバランス設定と同じです。
・デジタルフィルター:4種 / OFF
→4種類の設定があり、FiiOの他の製品と同じフィルターが用意されています。
・UAC:1.0/2.0(本体のみ)
→これは本体のみで設定が可能です。1.0に設定することでSwitchなどのゲーム機で使えます。
操作方法の解説
FiiO KA5の本体操作についても簡単に説明します。FiiO KA5本体にはディスプレイON/OFF・再生/停止・決定の3つを兼ねた単体ボタン(マルチファンクションボタン)と、音量調整・曲送り/曲戻し・メニュー送り(選択)の3つを兼ねた2連ボタンが用意されています。これらのボタン押下時の挙動はHIDボタンモードによって異なりますが、A/Bどちらに設定してもできることは変わりません。例えばAモードに設定している場合には、KA5の単体ボタンを短く押すと再生/停止、長押しでディスプレイON/OFFです。ディプレイが点灯した状態で単体ボタンを長押しするとメニュー画面が開きます。次に2連ボタンでAモード時には、短く押すとボリューム調整、長押しで曲送り/曲戻しになります。Bモードではこの短く押すと長押しの挙動が反対になります。次に説明する機能設定ではモードによるボタンの挙動は変わりません。単体ボタンを長押しでメニュー表示をしているときは、2連ボタンをメニュー送り(選択)に使用します。例えばFiiO KA5にメニュー表示した状態で、2連ボタンでデジタルフィルターまでメニューを送り、単体ボタンで決定すると、今度はデジタルフィルターの設定画面になります。ここでデジタルフィルターの設定を2連ボタンで送り、好みのデジタルフィルターを選択したら、そこで単体ボタンを押して決定となります。なお、ボリューム操作はいずれの設定においてもホスト側、KA5のどちらでも常に可能です。これはiPhoneでも同様でした。
PS5との接続方法
FiiO KA5をUAC1.0モードで起動することでPS5と接続が可能です。UAC1.0モードの設定方法が少しわかりづらいので解説しておきます。まずPS5とKA5をケーブルで繋げていない状態(KA5が電源が付いていない状態)で、KA5の単体ボタン(マルチファンクションボタン)を押し続けます。そして、この押した状態でPS5とKA5をケーブルで接続するとKA5がUAC1.0モードで起動します。実際にKA5を接続して、PS5のメニュー画面で音量を確認しました。PS5もKA5も音量がMAXの状態でやっと通常または少し大きいくらいの音量となります。そのため、使えることは使えるものの、音量面では少し難があると考えておいた方がよさそうです。ゲームよっては音量の大きいゲームもあるため、その場合は問題ないと思います。なお、KA5のマルチファンクションボタンを押さずに機器と接続すれば自動でUAC2.0での接続となりますので、UAC1.0モード接続後に設定を戻す必要はありません。
外観、機能レビュー
外観レビュー
FiiO KA5の外観のデザインは既存製品であるKA3の形状をほぼ踏襲しています。KA3の形状に新たなロゴデザインとOLEDディスプレイ、側面に操作キーがKA5には追加されています。本体サイズもKA3とほぼ同じで、3.5mmのみ搭載のHiBy FC6とも近いサイズのコンパクトなドングル型DACとなっています。ただし、レザケースが付属せず、角張ったデザインなので、傷が付かないか気になります。(追記)SK-KA5という製品名でKA5のレザーケースも発売となりました。価格は1,760円です。現時点で日本発売のケースは黒のみですが、中国では緑・茶の組み合わせのケースも発売されていて、今後日本でも発売される可能性があります。またFiiO KA5の本体もホワイトバージョンも発売されました。こちらも現時点で日本は未発売ですが、緑のケース同様、日本で発売される可能性が高そうです。BTR7のホワイトバージョンと異なり、FiiO KA5のホワイトバージョンのボタンは黒色でパンダのようなカラーリングとなっています。
機能レビュー
前述の機能紹介にもあるとおり、FIIO KA5には多くの設定が用意されており、ドングル型DACを使用するために必要な機能がほぼ全て盛り込まれています。特にFiiO KA5ではハードウェアミュートスイッチやDAC動作モード、HIDボタンモードなどはユーザーのかゆいところにも手の届く設定で、これまでドングル型DACに共通してあった不満点を概ね解消しています。一方でFiiO KA5にはドングル型DACとしては豊富な機能が揃っているがために、初見では扱いづらいと感じる方もいるかもしれません。ただ慣れてしまえば特に困ることはありません。そして、FiiO KA5に備えられているどの機能も選択肢が一つではなく、ユーザー自身がON/OFFなど好みの設定をすることができます。これらのことから、先に述べた通り、FiiO KA5はドングル型DACに対する多くのユーザーの不満を解消できると考えています。
サウンドレビュー
まずFiiO KA5のサウンドレビューです。
FiiO KA5は中域寄りで、ボーカルに少し艶が出ています。CS特有のスッキリ感はあるものの、KA5にはボーカルに少し艶があることで、そこに聴き応えのポイントがあります。後述もしていますが、Q11に比べて、KA5はイヤホンとも相性の良いDACだと思います。FiiO KA5のサウンドは全体を通してクセがなく、イヤホンを選びません。そのため、自身がよく聴くイヤホンと合わせることができ、またそのイヤホンが相性のいい曲を素直に楽しく聴かせてくれます。一方で、FiiO KA5には低域の制御で不十分な部分があり、合わせるイヤホンによってはボワ付きを感じる場合もあります。ただそれによって低音が支配してサウンド全体を潰してしまうということはありませんので許容範囲です。そしてFiiO KA5のノイズ面はQ11よりもさらに優れいて、ホワイトノイズを感じないだけではなく、ハードウェアミュートの機能によりポップノイズの問題も解消されています。
比較レビュー(機能除く)
次に手持ちのドングル型DACとFiiO Q11との比較レビューです。
今回はFiiO FH9を使って、写真の3つのドングル型DAC及びポータブルアンプと比較しました。FH9を使った理由は、FiiO KA5はやや低音の制御力に弱点を持っているためです。あえてKA5の弱点の出やすいイヤホンを使って違いがわかりやすいようにしてレビューをしていますので、聴くイヤホンによっては異なることはご了承ください。
Q11の比較
FiiO KA5とQ11の比較ではその差はかなり小さいと言えます。実際に並べて横比較しなければその違いに気づくことは難しいです。音場の横への広がり、低域の制御力においてQ11が優れいています。一方で、KA5の方がQ11よりも音にやわらかさを感じ、ボーカルに艶があり、密度も少し濃いです。これにより聞き応えのあるポイントが存在していて、Q11では合わせるイヤホンによっては平面的で味気なくに感じたところが、KA5ではありません。そのため、イヤホンで聴く際には組み合わせを選ばず、KA5の方が相性が良さそうです。
W2-131の比較
個人的にドングル型DACをいくつか購入した中で、いまだにW2-131を超える製品がありません。今回のKA5はかなり健闘していますが、やはりW2-131を手放すほどには至りませんでした。その理由は端的に言えば、W2-131は、FiiO KA5とQ11のそれぞれのサウンドの良さを持ち合わせていて、よりコントロールされたサウンドを実現しています。FiiO KA5では低音の制御が足りず、ボワつくケースがあります。Q11では低音は制御されていますが、やや平面的で味気なさがあります。一方で、W2-131は低音が制御され、サウンドも表現力が優れいています。それでもKA5の低域のボワ付きが目立つケースを除けば、表現力もしっかりあります。そのため前述のQ11との比較の通り、KA5はイヤホンで聴いていて楽しくリスニングよりのサウンドとなっています。サウンドのバランス面ではFiiO KA5やQ11、L&P W2−131は似ていて、中域に少し寄っているサウンドです。W2-131の方が中域の成分は少なくて、よりニュートラルには感じます。あえて極端に並べれば、中域の成分が濃い順にKA5 > Q11 > W2-131です。
またノイズ面では、FiiO KA5はW2-131のクオリティに匹敵しています。これまでFiiO製品ではポップノイズは避けられなかったのですが、FiiO KA5はそれが解消されています。さらにQ11同様、ホワイトノイズの無さはKA5でも実現されていて、全体的にノイズが全く気になりませんでした。
HiBy FC6の比較
まずHiBy FC6はノイズ面に難がありますが、前述の通り、FiiO KA5の方がその点の不安は一切ありません。サウンド面では、FC6は中低域寄り、KA5は中域寄りの違いがあります。FC6は中低域が濃密で、KA5より潤いがあって艶のあるサウンドになっています。そのためKA5はリスニング寄りであるものの、さらにより聴いていて楽しいのはFC6です。その分FC6は個性が強いので、合わせるイヤホンを選びます。この点においてKA5の方が汎用性が高いです。またFC6と比較しても、聴いていて楽しいサウンドという良さはKA5も持ち合わせていると感じます。FC6、W2-131と共通で言えることですが、FiiO KA5はこの2つに対して半額であり、その価格を考えればKA5の圧勝と言えるかもしれません。
KA3の比較
(追記)FiiO KA5とKA3との比較について、コメントをいただくことが多かったので追記します。過去に所有していましたが、現在は持っていませんのであくまで記憶のお話という前提となります。KA3はES9038Q2Mを搭載していることから、他の同じDACチップ搭載の機種とサウンド面が似ています。それは解像度が高くソリッドで、冷たく乾いたサウンドです。そのためサウンド面においてはFiiO KA5とKA3の比較では、好みでの選択が良いでしょう。一方で、明確にKA5とKA3との比較で、KA5が優れいている点が、2点挙げられます。1点目は、ノイズ対策です。KA3は出力が高いことを犠牲にホワイトノイズが気になります。またポップノイズ、曲の切り替わり時のノイズも存在していて、高感度のイヤホンでの利用を想定しているケースやノイズに敏感な方はKA5をおすすめします。2点目は機能です。FiiO KA5が上位の機種にあたることからも当然にはなりますが、KA3に対して、KA5の機能はとても優れています。KA5の日本価格が2.2万円、KA3は1.6万円で、価格差は約6,000円です。この価格差を考えるとKA3のサウンドがかなり気に入ったということがない限り、予算を足してKA5を購入することをおすすめします。
ペアリング
with FiiO FH9
FH9はオールマイティで完成度の高いイヤホンです。特にDAPやDACを選ばず、何と合わせても卒なく質の高いサウンドを聴くことができます。そのためFiiO KA5でも特に違和感なく、聴くことができます。KA5の少し艶のあるボーカルとも相性がよいです。またFiiO KA5は中域寄りであるものの、FH9で聴くことで低音が前に出されて、より聴いていて楽しいサウンドになります。ただし、KA5の低域の制御力が弱く、FH9との組み合わせでは低音が少しボワついて聞こえてしまうというデメリットがあります。
with FiiO FA9
FiiO FA9は分析的なイヤホンです。FiiO KA5のサウンドバランスは、このFA9で決めています。一方でFA9はサウンドの起伏があまりないので合わせるDAPやDACによっては味気がなく、面白みを感じにくいです。しかし、KA5ではボーカルに聴き応えのあるポイントが作られているので、FA9との相性が非常に良く感じます。低域と高域が邪魔することなく、ボーカルを聴くことができます。また低音もFH9であったような制御不足を感じることがありません。ただし、スピード感を感じにくい組み合わせです。
with Vision Ears VE4.2
VE4.2は、V字型のバランスでキレのあるイヤホンです。DAPとDACとの相性がはっきりしています。高域の刺さりやすさはこのVE4.2で確認することが多いです。FiiO KA5ではコントロールはしきれていないものの、高域はギリギリ刺さりません。この組み合わせでは元気の良いサウンドになりますが、FiiO KA5の中域寄りのバランスによって低域が支配的にならず、ロックを聴く場合にはむしろスピード感が出て、楽しく聴くことができます。
以上、FiiO KA5のレビューでした。
W2-131やFC6といったハイエンドの価格帯と比較すると、少し劣る部分はあるものの十分に健闘しています。さらにクセがなく扱いやすいサウンドであり、2.2万円という競合の多い価格帯ですが、豊富な機能が搭載されていることを考慮すれば十分に魅力的な製品であると感じました。今後、ドングル型DACでどれがおすすめかと聞かれたら、私の答えはFiiO KA5となります。
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FIIO KA13 実機レビュー 〜デスクトップモード搭載のドングル型DAC
EARL(ライフスタイルDX)
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