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FIIO M27 徹底解説|ポータブルとデスクトップを融合した新世代リファレンスDAP

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ついにFIIO M27が中国で2025年10月25日、正式に発売開始となりました。日本では早くて年内を予定しているようです。本記事では日本語の解説記事となります。

FIIO M27とは?4年の歳月をかけて完成した、FIIO渾身の新世代モデル「M27」。同社の名機M17で確立された「ポータブル+デスクトップ」設計思想を継承しながら、最新アーキテクチャと高品位な構造を融合。圧倒的な性能と豊富な接続性、そしてリファレンス級の音質を兼ね備えた、まさにジャンルを超えた新世代ハイレゾオーディオプレーヤーです。
FIIO
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FIIO M27のスペック(M17比較)

項目FIIO M27FIIO M17
材質/筐体アルミ合金/チタン合金アルミ合金
サイズ約157.4 × 85.1 × 28 mm約156.4 × 88.5 × 28 mm
重量約556 g(アルミ)/約630 g(チタン)約610 g
RAM8 GB4 GB
ROM/ストレージ256 GB(実使用 約241 GB)/
デュアルTFカード(最大4 TB)
64 GB(実使用 約46 GB)/
シングルTFカード(最大2 TB)
プロセッサ(SoC)QCS6490
(Snapdragon 778G相当)
Snapdragon 660
DACES9039SPRO × 2ES9038PRO × 2
アンプN/ATHX AAA-788+
USBXMOS XU316XMOS XUF208
BluetoothQCC5181QCC5124
ディスプレイ5.99インチ(1080 × 2160)5.99インチ(1080 × 2160)
バッテリー9,200 mAh9,200 mAh
Bluetooth仕様(受信/送信)受信:Bluetooth 5.4(SBC / AAC / aptX / aptX Lossless / aptX HD / aptX Adaptive / LDAC)
送信:Bluetooth 5.2(SBC / AAC / aptX / aptX HD / aptX Adaptive / LDAC / LHDC)
受信/送信:Bluetooth 5.0(SBC / AAC / aptX / aptX HD / LDAC)
デコード仕様本体再生:768 kHz / 32 bit、DSD512(Native)
USB DAC:768 kHz / 32 bit、DSD512(Native)
本体再生:384 kHz / 32 bit、DSD256(Native)
USB DAC:768 kHz / 32 bit、DSD512(Native)
入力/出力端子3.5 / 4.4 / 6.35 mm ヘッドホン出力、同軸入出力、光出力、USB Type-C ×2、独立電源端子3.5 / 2.5 / 4.4 / 6.35 mm ヘッドホン出力、同軸入出力、光出力、USB Type-C、独立DC端子
最大出力(ヘッドホン)5,000 mW + 5,000 mW(32Ω・デスクトップモード・バランス)3,000 mW + 3,000 mW(32Ω・DCモード・バランス)

FIIO M27 外観

①電源/音量ノブ②6.35mm PO/ライン出力③4.4mm BO/ライン出力
④3.5mm PO/ライン出力端子⑤前の曲ボタン⑥再生/一時停止ボタン
⑦次の曲ボタン⑧多機能ボタン⑨側面ライト
⑩アンテナ⑪TFカードスロット⑫光デジタル出力端子
⑬Type-C充電・給電端子⑭HOLDスイッチ⑮Type-Cデータ・充電端子
⑯デスクトップモードスイッチ⑰USB HOST端子⑱同軸入出力端子

FIIO M27 同梱物

① M27本体② 強化ガラスフィルム(出荷時貼付)③ 本革保護ケース(アルミ版=ダークブルー/チタン版=ライトグレー)
④ 収納ケース ×1⑤ クイックスタートガイド⑥ カードピン
⑦ USB-A to Type-C メス変換アダプター⑧ Type-C to Type-C 充電/データケーブル⑨ 保証カード
⑩ GPL V2 ライセンス⑪ DK1 PLUS 底座用ファン電源ケーブル⑫ クリーニングクロス
⑬ DK1 PLUS 冷却スタンド

※中国販売の同梱物のため日本発売時には変更になる可能性があります。

FIIO M27の概要

QCS6490搭載 ― 新世代チップによる圧倒的な処理性能

M27は、最新のQualcomm QCS6490を搭載。スマートフォン向けSoC Snapdragon 778Gと同構造の8コアプロセッサで、A78大コアの動作周波数は最大2.7GHz。6nmプロセスによる高効率設計により、Android 13システムと8GB+256GBの大容量メモリ構成をサポート。複数のアプリや高音質ストリーミングサービスを同時に扱っても、常にスムーズで快適な操作性を実現します。

ポータブル+デスクトップ対応 ― 豊富な入出力インターフェース

M27は、3.5mm、4.4mm、6.35mmのヘッドホン出力端子を標準搭載。さらに同軸デジタル入力/出力、光デジタル出力にも対応しています。また、2基の高速TFカードスロット(最大2TB×2)を備え、デュアルType-C端子と独立電源入力も搭載。ポータブル機としての柔軟性と、据え置きDACとしての拡張性を両立した、ハイブリッドな構成です。

FIIO × ESS共同開発 ― デュアルES9039SPROフラッグシップDAC搭載

M27には、ESS Technologyの最新8チャンネルDAC「ES9039SPRO」を2基搭載。これにより、超高ダイナミックレンジと極めて低い歪率を実現し、音の細部まで正確に再現します。さらに、2基の低ノイズ電圧レギュレーター「ES9312」を採用し、4チャンネル独立電源構成で差動出力を安定化。圧倒的な静寂感と透明感のあるリファレンスサウンドを生み出します。

5000mW+5000mWの超高出力 ― 五段階ハードウェアゲイン搭載

M27は、五段階のハードウェアゲインを備え、ヘッドホンのインピーダンスや感度に応じた最適な駆動力を実現。通常のイヤホンはもちろん、ハイインピーダンスの大型ヘッドホンでも余裕をもってドライブ可能です。独立電源を接続して「スーパー・ハイゲイン・モード」を有効にすると、最大出力は5000mW+5000mWに達し、大音量でも歪みのない力強いサウンドを提供します。

31バンドPEQ&AUTO EQ ― 精密チューニングと自動補正を両立

M27はFIIO独自のアルゴリズムを採用し、DAPとして初めて「全域31バンドの高精度PEQ調整」に対応しました。緻密な音響補正が可能で、ヘッドホンの周波数特性を自在にコントロールできます。またAUTO EQ機能により、ユーザーがヘッドホンの原始データと目標カーブを選択するだけで、自動的に最適なチューニングを実行。内蔵プリセットにはポップス、ジャズなどの音楽ジャンル別EQも含まれ、さらにFX17専用の「醇音モード」も搭載されています。

aptX Lossless+XMOS XU316 ― 完全ロスレス再生を実現

Bluetooth 5.4に対応したQualcomm QCC5181チップを採用し、aptX LosslessやLDACといったハイレゾワイヤレスコーデックをサポート。さらにUSB経由の有線伝送では、XMOSの16コアプロセッサ「XU316」により768kHz/32bit PCMおよびDSD512(Native)までの再生が可能。無線でも有線でも、スタジオマスタークオリティの音を忠実に再現します。

デスクトップ級電源構成 ― デジタルとアナログの完全分離設計

M27は、デジタル回路とアナログ回路を完全に分離したデスクトップクラスの電源アーキテクチャを採用。高効率DC-DC回路とLDOレギュレーターを組み合わせ、ノイズ干渉を最小限に抑制。DAC、I/V変換、LPF、ヘッドホンアンプそれぞれに独立電源を供給し、よりピュアで正確な信号伝送を実現しています。

高性能オーディオ回路構成 ― 精密な6段差動構造

FPGAを中心に、ES9039SPRO×2基、OPA2211、NJU72315などを組み合わせた高精度回路設計を採用。信号経路はすべてバランス構成で、I/V変換からLPF、ゲイン制御、ヘッドホンアンプに至るまで全段差動駆動を実現。リレー出力によるラインアウト、バランスアウト、PO出力も備え、歪みを徹底的に排除しています。

高効率冷却構造とデスクトップモード

筐体は高熱伝導素材を使用し、内部にはグラファイトVCヒートプレートと金属フレームを一体化。これにより、長時間の高出力再生でも安定した温度を維持します。また「デスクトップモード」ではバッテリーを切り離して動作し、放電劣化を防止。長期使用でもバッテリー寿命を保ちながら高出力を維持します。

交換可能なバッテリーユニットと9200mAh大容量

M27は9200mAhの高圧リチウムバッテリーを搭載し、最大35Wの急速充電に対応。単体で約9時間、バランス駆動でも約8時間の再生が可能です。さらにバッテリーユニットは交換式で、長期間使用後も安心してメンテナンスできます。

高品質オーディオパーツと冷却設計

内部には、TI OPA2211、NJU72315音量IC、ELNA製オーディオコンデンサ、赤宝石薄膜コンデンサ、低ノイズ抵抗などを多数採用。さらにリレー出力による無損失伝送や銅製ヒートスプレッダにより、安定した出力と低ノイズを両立。分布型放熱構造により、アンプ部の発熱を効率的に拡散します。

豊富な純正アクセサリー ― ポータブルでも据え置きでも完璧に

M27には、放熱レザーケース、冷却スタンドDK1 PLUS、専用保護キャップ、そしてリネン調の高級キャリングケースが付属。放熱と保護、そして収納性までトータルにデザインされ、どんな環境でも最高のHiFi体験を提供します。

価格と販売情報

M27のアルミニウム合金版は11999元、チタン合金版は14999元。

FIIO M27 レビュー情報

使い勝手・デザイン・操作性

M27はFIIOが掲げる「ポータブル・デスクトップ機(便携台机)」という新しいカテゴリの製品であり、外観からして圧倒的な存在感を放つ。M17の直系にあたる大型筐体を継承しつつも、全体の仕上げはより洗練され、重量感がありながらも高級感を感じさせる。アルミ合金版で約555g、チタン合金版では630gに達するが、その重さは高密度な内部構成とヒートシンク設計によるもの。

側面のボタン配置は実用性を重視しており、物理キーとタッチ操作のバランスが秀逸。再生・停止、曲送り・戻し、ボリュームノブ、HOLDスイッチ、D-MODE切替などが直感的に操作できる。AndroidベースのOSは非常に軽快で、アプリの反応も速く、RoonやDLNA、AirPlayも難なくこなす。

冷却構造はFIIOらしく徹底されており、筐体内部に銅ブロックとベイパーチャンバーを組み合わせた冷却システムを搭載。さらに専用の冷却スタンドDK1 PLUSを使用すれば、USB Audio出力や給電を行いながら安定動作できる。まさに“可搬型デスクトップ”の名にふさわしい使い勝手。

音の質感(全体傾向)

M27はESS ES9039PRO×2構成のデュアルDACに加え、高性能LDOと分離電源設計を採用。音の第一印象は“高解像度だが硬すぎない”。解析的な透明感の中にわずかな温度感があり、冷たさを感じさせない。中高域は明瞭で線が細くなりすぎず、全体的に中性〜ややウォーム寄りのチューニング。

クラシックやアコースティックでは広い音場と柔らかい表現力を、ポップスやボーカルでは厚みと実体感を両立する。音像がくっきりと立ち上がりながらも、背景は静かで、分離感が非常に良好。

音場・定位感

音場は明確に「ポータブル機の枠を超えている」。HD800SやHIFIMAN ANANDA UNVEILEDといった大型ヘッドホンをドライブした際、M27はまるで据え置きアンプのような広がりを再現する。一般的なDAPではHD800Sのスケール感が圧縮されがちだが、M27では空間が完全に開け、前後・左右ともに層のある立体的な展開を描く。楽器の配置が自然で、ボーカルが空間に立ち上がるような表現はM17よりも明確に上位。台機モード(D-MODE)に切り替えるとさらに低域の制動力が増し、音場の奥行きと広がりが一段と拡張する。

高音(High)

高域は滑らかで艶があり、尖りを感じさせない。ES9039PROの傾向をうまくコントロールしており、分析的というよりは上質な解像感にまとめられている。弦楽やシンバルなどの高音域の伸びは自然で、人工的な煌めきやデジタル臭さがない。チタン版ではさらに透明度が上がり、音の輪郭がより精密に浮かび上がる印象がある。

中音(Middle)

中域は密度が高く、ボーカルの実体感が非常に強い。女性ボーカルでは繊細さと気品を感じ、男性ボーカルでは喉の響きが豊かで艶やか。中音域の再現力はFIIO機の中でも特筆すべき完成度で、温度感と解像度を高い次元で両立している。中音のバランスはやや前寄りで、ライブ音源やアコースティック作品との相性も良好。特に弦楽四重奏などでは楽器の距離感が非常にリアルに再現される。

低音(Bass)

低域は締まりがあり、沈み込みも深い。過度に誇張せず、量感よりも制動とスピードを重視した設計。HD800Sを駆動した際には、一般的なDAPでは不足しがちな低域の伸びや躍動感がしっかりと再生され、スピーカー的な空気感を感じさせる。D-MODEをオンにするとさらに駆動力が増し、低音の押し出しが一段と強化される。量感と質感のバランスが見事で、重厚ながら過剰な膨らみがない。

アルミ版とチタン版の違い

アルミ合金版とチタン合金版は音の方向性が異なる。アルミ版はより“温かく”、“厚みのある”サウンドで、わずかに柔らかい毛羽立ちを伴う。クラシックやボーカル曲との相性が良い。一方チタン版は透明度が高く、輪郭が引き締まったモニターライクな音。線が凝縮しており、空間の見通しが良い。特に弦楽やジャズなど細かな表現を求める音楽で差が出る。どちらも同一構成ながら、素材がもたらす音の“響き方”の違いが明確に聴き取れる。

M17との違い

M17と比較すると、M27は全体的に質感が大きく進化している。M17が“力強くて荒々しい”印象を持つのに対し、M27はより緻密で滑らか。ノイズフロアが低く、背景の静寂感が一段上。解像度や分離感の高さはもちろん、音の“滑らかさ”が格段に向上している。M17がポータブル据え置きの始祖だとすれば、M27は完成形といえる仕上がり。筐体デザインもM17の無骨さを和らげ、よりモダンで高級感のある佇まいとなった。

他DAP(N8、RS8IIなど)との比較

Cayin N8やRS8IIと比較すると、M27はよりニュートラルな基調を持つ。N8が真空管的な柔らかさ、RS8IIがやや湿り気のある中低域を強調するのに対し、M27は正確でダイレクトな表現。RS8IIがやや潤いをもたせた“味付け系”であるのに対し、M27は“純粋な原音再生”を志向している。聴感上は冷たくなりすぎず、中庸で安定したチューニング。低域のキレや推進力はM27が上で、ドライブ力に関しては現行DAPの中でもトップクラス。特にHD800SやSusvaraのようなハイインピーダンス機を余裕で鳴らせる点で、他機種との差は圧倒的だ。

総評

FIIO M27は、FIIOが長年掲げてきた「ポータブルでも据え置き級の音を」という理念を完全に体現したモデル。ES9039PRO×2構成による高精度な音作りと、クラスを超えたパワーアンプ設計により、あらゆるイヤホン・ヘッドホンを余裕で駆動する。台機モード+外部電源使用時の安定感はまさにデスクトップ機そのもの。音の方向性は“ニュートラルかつ音楽的”。厚みと透明感の両立、そして素材による音の表情の違いまで楽しめる、FIIOらしい完成度の高い仕上がり。「M17の完成形」と呼ぶにふさわしい、FIIOの新たな到達点である。

M27が気になった方は以下より購入可能です。

販売ページ:確認され次第追加予定

※日本代理店のお知らせでは、シールタイプの技適は継続のようで、海外版は技適表示がない可能性があります。

EARL

FIIO製品に特化したポータブルオーディオ情報を発信しています。2022年以降の新製品のほとんどを購入し、信頼性の高い情報をお届けします。

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