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今回PS5のデジタル音声出力、オーディオインターフェース接続に対応していないことに対する解決策をまとめました。
今回の解決策では具体例としてFiiOのBTA30proを利用した方法をご紹介します。「なんだまた別のオーディオ機器を使うのか」と思うかもしれませんが、BTA30proの場合はPS5の音声を遅延なしのBluetoothで出力できるというメリットも持っています。そのため既存のオーディオシステムを活かしつつ、ワイヤレス化もできますのでぜひ参考にしてください。もちろんタイトルの通り、BTA30proだけではなく、根本的な解決策におけるオーディオインターフェースの選択肢に加えて、低コストな選択肢についてもご紹介しています。
さらに新たな可能性としてFIIOからBT11というBluetoothトランスミッター(送信機)が発売予定です。これは非常にコンパクトかつLDACやaptX系の全てコーデックに対応し、低遅延と高音質双方で使えるものとなります。さらにワイヤレスイヤホンからマイク入力もできるため、完全なワイヤレス化も実現できる見込みです。また価格もリーズナブル(1万円以下)となる可能性があり、低コストでの解決策にもなりえます。ページ内でこちらも紹介していきます。
なお、今回はPS5のデジタル音声出力問題、オーディオインターフェース接続における解決策に焦点を当てていますが、PS5対応のゲーミングDACやオーディオインターフェースなど全般的にオーディオ機器を検討する際の注意点はこちらの記事で詳しく解説しています。
PS5のオーディオインターフェース接続、デジタル音声出力に対応していないことへの解決策
PS5のオーディオインターフェース非対応問題の解決策
PS5はUSB規格が古いことにより多くのオーディオインターフェースに対応していません(USB接続が非対応)。またこの問題はPS4にあった光デジタル(SPDIF)端子が廃止が原因です。PS4では機器本体から光デジタルを出力できたことでUSB接続の対応有無を気にすることなく、光デジタル入力さえあればオーディオインターフェースを選択することができました。しかしPS5の場合は、これまで使っていたDACなどのオーディオインターフェースを使ってPS5のゲーム音声を出力することができず、困っている方が多いのではないでしょうか。
なぜUSB DACを選択したかというとオーディオインターフェースは豊富な入出力端子を持つ機種は価格が高い上にPS5にUSB接続に対応している製品は現状、ほとんどありません。さらに対応していてもPS5の音声が小さすぎてオーディオインターフェース上のアンプ機能だけではまともに音が聞こえないことも多いです。またPS4時代に光デジタルの入出力をもつオーディオインターフェースやAVアンプを持っている人は多いと思います。そこで新たにオーディオインターフェースを用意するよりも、DACを追加する方がコスト的にも機能的にも良いからです
この記事ではPS5とUSB接続が対応していて、さらに光/同軸デジタル入出力にも対応するFiiOのBTA30proを解決策の具体例としてご紹介します。この製品の機能としてはUSB DAC /アンプ及びBluetoothレシーバー/トランスミッターです。
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光デジタル/同軸デジタル出力を持つUSB DACがなぜ解決策か
光/同軸デジタル入出力を持つUSB DACを使うことなぜ解決策になる理由は以下の通りです。
- PS5の音質を劣化させずに、むしろより定位感や音響効果を増幅させることができる
- 音質を劣化させずに手持ちのPS5非対応のオーディオインターフェース、スピーカーやAVアンプともUSB DAC経由で接続ができるので既存のオーディオシステムを活かすこともできる
- 光/同軸そのものがデジタルデータであり、ハイレゾな音質のデータ転送が可能な規格である
光/同軸デジタルではなくアナログに変換したまま別の機器同士で接続して入出力してしまうとよっぽど高価なオーディ機器と相当な知識がなければ音質が劣化します。ゲームにおいて音質を劣化させることは、例えばFPSにおいて足音が聴こにくくなったり、ゲーム全般で言えばどの方向から音が聴こえているかが分かりづらくなったりして、ゲームを純粋に楽しむことが難しくなります。
この音質を劣化させる一例として、1万円台前半のゲーミングDACのAstro Mixampがあります。この機器を使うとPS5の音質を劣化させてしまうことになります。これはDACの性能が低いこととアナログ出力しかないためです。例えばゲーミングDACを使う場合でもSteelSeries GameDacであればオーディオ機器に近いDAC性能を持っているので音質を劣化させずにヘッドセット(アナログ)へ音声出力が可能です。またSound Blaster GC7であれば光デジタルの入出力も可能なのでオーディオインターフェースやAVアンプ等へも音質を劣化させずに転送可能です。
今回具体例として紹介するBTA30proではこれらの高価格帯のゲーミングDACと同じ価格帯ながら、DACも高性能で光/同軸デジタル出力ができ、さらにPS5の音声を遅延なしでワイヤレス化ができることで、PS5音声出力の選択肢が広がります。これによりワイヤレスヘッドホン/イヤホン、有線/BTスピーカー、AVアンプ等の出力拡張性が一気に高くなります。そのため私はこのBTA30proというUSB DACを選択しました。また最近では低遅延のワイヤレス対応のゲーミングヘッドセット、ゲーミングDACも発売されていて、この後SteelseriesのArctis Nova Pro Wirelessのご紹介もします。2022年頃からゲーミング系のオーディオ製品もワイヤレス対応では高性能な製品が増えてきています。
USB DAC以外の低コストな解決策
低コスト①DDコンバーター(DDC)を使う
最も簡単かつコストのかからない解決策としてPS5からの音声をUSBで取り出し、光/同軸デジタルへ変換する機器(DDC)を利用する方法があります。このDDCにおいては高価な機器は必要ありません。なぜなら先ほど挙げた理由で光/同軸そのものがデジタルデータであり、ハイレゾな音質のデータ転送が可能な規格だからです。
DDCについては現在在庫切れとなっていますが、当初私はNFJ製のDDC(FX-AUDIO- FX-D03J+)を使っていました。このFX-D03J+はゲームエディションとなっていて少し高いです。ゲームエディションではない同じ品名(FX-D03J(無印))の機種は半額で売っています。ゲーム対応のサポートはありませんが、PS5に対応していることを確認済みです。正直ゲームエディションを買う意味はあまりありません。ゲームエディションと無印版の2つともリンクを貼っておきます。
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DDCで光/同軸デジタルに変換した後、オーディオインターフェースなどを全く使わずにスピーカーまで接続されたい場合は、PS5とDDCを接続し、さらにこのDDCとFiiOのD03K-E(TAISHAN)を利用して、アナログ出力に変換する方法があります。この方法を使えば1万円以下でPS5の音声を高品質にアナログ変換できますので、スピーカーなどのオーディオ機器にも接続可能です。リンクを貼っておきます。私も一番最初はこの方法でスピーカーに出力していました。
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低コスト②中古でPS5とUSB接続対応かつ光デジタル出力を持つDACを使う
PS5がオーディオ機器とのUSB接続を難しくしている理由を端的に言うと、PS5側のUSB対応が古い規格だからです。そのため中古の古いDACを使うとPS5とのUSB接続が対応しているケースがあります。しかしここで注意点があって、古いDACは先ほどのAstro Mixampと同様の問題(低性能なDACによる音質劣化したアナログ出力)が発生します。そのためPS5とUSB接続に対応していて、光/同軸デジタル出力を持つDACを選ぶ必要があります。ただし対応したDACを探すのが非常に難しく、結果的に最新機種を買った方が労力を考えれば低コストで済む場合があります。中古でも安くて高性能なDACが手に入る場合もあるので辛抱強く探す手もあります。
今回FIIOの最新機種であるBTA30proでPS5対応だったので、中古DACもFIIO製を中心に確認しました。意外と古い機種ではUSB接続に対応していることが多いことがわかりました。独自に確認しただけでもD5、E17、E17K、E10、E10Kは対応していました。この中でE17、E17Kは光入力での接続ができ、DAC性能も悪くなく、中古で安く手に入りやすいのでDACだけでいくなら選択肢になり得ます。D5、E10、E10Kは同軸デジタル出力に対応していますので、光/同軸デジタル入力のあるオーディオインターフェースと接続も可能です。ただしE10、E10Kは1万円前後します。
FIIO BT11のBluetoothトランスミッターを使用する
現在未発売のためまだ可能性の話となりますが、コンパクトかつ高性能で、PS5にも使えるBTトランスミッターを使うことで低遅延または高音質の双方のニーズを満たしながら、PS5のオーディオ問題を解決できそうです。こちらの製品の詳細は下記をご覧ください。
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PS5とオーディオインターフェース接続の具体例:
BTA30pro利用における接続方法と詳細
BTA30proはPS5とUSB接続に対応していて、さらにRCA、光デジタル/同軸出力を備えていることから、図のようにBTA30proを経由して手持ちのオーディオインターフェース(その他アナログ、光/同軸デジタル接続可能なオーディオ機器)にPS5の音声を入力することができます。
最初にご紹介したDDCを利用すればパソコンとはUSB接続、PS5とは光/同軸デジタルで接続することができるので、都度PCとPS5とでUSBを付け替えなくても、パソコンとPS5の同時接続による利用が可能です。もちろんこれによりBTA30proと接続したオーディオインターフェース側から音声を持ってくればPCでボイスチャット、PS5でゲームということもできますし、オーディオインターフェース側でゲーム音とボイスチャットをミキシングすることができます。
<BTA30proを利用した接続イメージ>
ただし、BTA30proはUSB DACなので出力のみの一方通行です。そのためボイスチャットを行う際は自分の音声をPS5に入力する必要があります。これにはコントローラー内蔵マイクを使うか、別途USBマイクを用意する必要があります。
なお、BTA30proはBluetoothトランスミッター(送信機)でもあるので、PS5の音声をワイヤレス出力できます。これによりオーディオインターフェースとの接続問題を解決するだけでなく、PS5を完全コードレス化できます。またLDACにも対応していて、ゲーム以外の用途においても大活躍してくれます。ゲームだけではないあらゆる場面でワイヤレス接続が可能となり、コードレスで快適な生活をおくれますので私はこの解決策であればBTA30proの利用をおすすめしています。
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ゲーミングヘッドホンを利用した解決策
SteelSeriesよりPS5の音声出力をワイヤレス化可能なゲーミングDAC/ヘッドセットであるArctis Nova Pro Wirelessが発売されました。これまでBTA30Proを利用していましたが、このArctis Nova Pro Wirelessではオーディオ機器にも負けないサウンドクオリティを持っており、今後ゲームオーディオもワイヤレス化していくと感じました。引き続き既存のオーディオシステムを活用するという点ではBTA30proもおすすめですが、ゲームを主軸としている方はぜひSteelSeriesのArctis Nova Pro Wirelessをご検討ください。
その他ゲーミングDACの性能比較記事
ゲーミングDACって本当にPS5・ゲームの音を良くしてる?最新DAC含む主要7製品のオーディオ性能を比較
FIIO BT11を利用した解決策(イメージ)
*まだ日本未発売の製品ためあくまで利用イメージです。
FIIO BT11はコンパクトなトランスミッターでPS5等に本体に直接USB接続して使用します。端子がそのまま付いているタイプのトランスミッターですので、ケーブルも不要で利用の邪魔になりにくいです。またトランスミッターのため、お使いのワイヤレスヘッドホンやイヤホンのマイク入力をそのまま使うことができます。これにより従来、マイクが別で必要であったり、高価なゲーミングDAC等を利用したりする必要がありましたが、遅延や音質にシビアなFPSゲームや音ゲー等でなければ、このFIIO BT11一つでPS5のオーディオ問題が解決します。
製品記事:FIIO BT11 最新情報/iPhone ,iPad ,Switch, PS5対応小型トランスミッター/ロスレス対応
番外編:PS5への音声入力問題の解決策
この番外編では手持ちのオーディオインターフェイスがPS5非対応でUSB接続ができず、自分の声の入力もできないという場合にTASCAM iXZ を利用します。追加でコストをあまりかけたくない方におすすめで、PS5で行うボイスチャットにおける音声入力における解決方法です。この方法の特徴はPS Appを使うことです。
これにより、スマートホン/タブレットで行うボイスチャットをオーディオインターフェイスを介してできれば良いので、PS5がオーディオインターフェイスに対応している必要はありません。今回の解決策ではスマートホン/タブレットに自分の音声入力し、かつボイスチャットの音声を手持ちのオーディオインターフェイスに入力する手段として、TASCAM iXZを利用しています。
<TASCAM iXZを利用する接続イメージ>
このiXZは約3,600円と安く、「4極プラグでの接続」と汎用性が高いです。またXLR入力が可能ですので上の図ではオーディオインターフェイスにマイクを接続していますが、iXZに直接マイクを接続することも可能です。スマートホン/タブレットにイヤホンジャックがない場合にはアダプターを使います。これはiPhone純正、Ankerの他、1,000円以下の安いものでも問題ないと思いますが、4極対応(マイク入力/電話可能)という製品にしてください。実際に使っているAnkerのリンクを貼っておきます。USB タイプCをステレオミニメスに変換するアダプターです。
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以上、PS5のオーディオインターフェース接続、デジタル音声出力に対応していないことへの解決策のご紹介でした。
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EARL(ライフスタイルDX)
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