FIIO R9についてレビューをしていきます。また同じフラグシップラインのK19とも比較してます。どちらを買えばいいか悩む方もいらっしゃると思いますので参考にしていただけますと幸いです。
FIIO R9の製品情報は下記をご覧ください。
FIIO R9 レビュー
レビューの前提条件
- イヤホン:FX15、FH19
- レビュー曲:ずっと真夜中でいいのに。クズリ念/TAIDADA
- モード:USB DACモード *K19との比較のため
- 電源:FIIO PL50
FIIO R9のレビュー
FIIO R9でまず機能面を言えば、多機能という特長があるものの、HDMI ARC機能などデスク上での利用においてはややオーバースペック。サウンド面ではM17とK9 Proと同じ、旧来のフラグシップ構成であるES9038PROとTHX AAA 788+の組み合わせであるが、サウンドバランスがより良くなっているように感じた。
この「バランス良くなるような」というのは、特にK9 PROではやや低音が強く感じる、高音がやや尖って聞こえるという嫌いがあったが、それらが適切に調整されたという印象を受けている。これにより、イヤホンで聴いてもより繊細な部分も感じ取れるようになった。そして、この特徴はR9以降に発売されたFIIOのDACアンプ製品では多く見られるようになっている。例えばKA17やBTR17がそのチューニングの特徴を引き継いでいて、特に高音域は尖った感覚は目立っていない。
FIIO R9とK19の比較
次にFIIO R9より後に発売された、K9PROのさらに上位のK19とはどのように違うかである。
価格で言えばFIIO R9はDACアンプとしての機能のほか、DAPやHDMl ARCの機能も有することから、K19よりも2万円ほど高い(R9は約27万円、K19は約25万円)。2万円という価格差に対して豊富な機能だけを見ればK19よりもコストパフォーマンスが高いと言えるだろう。それでは肝心のサウンド面はどうかというと、結論から言うと「結構違う」。当たり前だがK19はK9PROの上位モデルであるから、FIIO R9とは値段がほぼ同じであっても、サウンド構成としてはK19が上位となっている。
最も大きな違いは音の躍動感である。これはリアリティ、再現度とも言えるかもしれない。FIIO製品は味付けがほとんどないために、上位機種になればなるほどサウンドの再現度があがり、音楽を繊細な部分まで楽しむことができる。簡単に言えば音数が増え、低音はより深く、高音はより繊細になるイメージだ。
話をFIIO R9とK19の比較に戻すと、詰まるところR9はしっかりK19の下位に位置していると言える。FX15で聴いた時はボーカルの口の形、高音や低音の見通しが変わってくる。FX15は比較的、低音タイプの曲には不向きなので特に低音の見通しの違いがわかりやすい。R9に対して、K19の方がよりワイドレンジに感じる。今度は低音に利点のあるFH19で聴いてみるとR9においても低音もしっかり聴こえてくるが、K19と比較すると輪郭がややぼやけてしまっている。そして中高音の見通しがやや曇る。
ただし、ここではあえてFIIO R9とK19の比較をした時に、K19が優位なので、極端に言うと、そういうふうに聴こえるということであって、R9が決してダメな訳ではないことは注意してほしい。
最後に
単体で評価をすれば前述の通り、K9PROよりもバランスが良く調整されていて、個人的にはFIIO R9の方が好みであった。これはFIIOの進化であるとも捉えている。特に私の場合は今回のレファレンス曲のように”ずっと真夜中でいいのに。”しかほとんど聴かないので、楽器数の多いバンドあることから低音から高音までバランスが良いことが大事で、かつ、ボーカルがかなりのハイトーンボイスなので高音の雑味成分は特に気になってしまう。このような中でR9は優れていると感じている。特にイヤホンで聴いてもFIIO R9はホワイトノイズがあまり気になることもない(個人の環境に左右もされる可能性あり)し、低音がドライブしすぎることもないから、デスクトップ型だとしてもヘッドホン、イヤホンどちらも楽しめるのは利点となっている。また機能面では、DAP機能もあるので、ケーブル接続によるパソコンとの距離を気にせず、スタンドアローンで再生できることも強みだし、壁紙を自分の好きなものに変えられることも音楽を聴く上で視覚的な印象も良い。
オールインワンと言われるだけあって、音楽を再生するという点だけに着目すると割高に感じてしまう側面もあるが、DAPの機能など、これだけ多くの機能を積んでいて高いサウンドクオリティも持つということは、R9の最も大きなメリットと言えるだろう。
EARL(ライフスタイルDX)
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