FIIO FT5が9月24日に中国南京で開催されたオーディオイベントにて発表されました。この記事ではFIIO FT5の発表内容を日本語に意訳してまとめていきます。ただし今回は専門用語も多く、翻訳が一部間違っている箇所もあるかもしれませんが、概ね意味が通じるように意訳していますので、ぜひ最後までご覧ください。(追加情報)日本でも発売開始となりましたので発売日・価格を更新しました。
FIIO FT5 発売日・価格
発売日:2023年12月1日(10月31日) 価格:79,200円(2999元/450ドル)
FIIO FT5の海外価格は2999元とFT3に対して約1000元の上昇に抑えられ、日本では79,200円となり、FT3の53,900円に対して約2.5万円差と価格差だけでは海外価格とそこまで変わらない状況です。また平面駆動型ドライバーのヘッドホンは10万円に近い価格の製品が多い中で、円換算6〜7万円はFIIOらしくサプライズ価格となっています。日本価格は約8万円と割高に見えますが、平面駆動型の中では比較的リーズナブルな価格です。日本価格はFT3の実績から期待したいですが、現在150円近い円安状況ということもあって、中国価格よりも割高になることも考えられます。ドルベースは元価格よりも1万円程度為替の関係で高くなったことから、日本価格は7万円〜8.5万円程度と予想しています
FIIO FT5 スペック情報
FIIO FT5の感度は96dB/mW、インピーダンス36Ωです。FIIOの説明によれば平面駆動型ドライバーのヘッドホンでありながら、ドングル型DACであるKA5でもうまく駆動することできると解説しています。
FIIO FT5 付属品
FIIO FT5の付属品は、FT3同様、充実しています。ケーブルは3.5/4.4交換式プラグ、ヘッドホン側は3.5mm/2極の両出しでリケーブルがしやすいタイプです。またXRL/6.35変換アダプター、ヘッドホンケースが付属しているようです。
FIIO FT5の開発経緯
ここからはFIIOの説明を引用していきます。
FIIO FT5のプロジェクトは2022年8月に開始しました。平面駆動型ドライバーは、ダイナミック型ドライバーに比べて設計などはまだ成熟していません。そしてFIIOとして初めての平面駆動型ドライバーの開発となります。FIIO FT5はプロジェクト開始から上市まで1年以上かかりました。ヘッドホンの構造部分はFT3のアーキテクチャに沿っているため、FT5の開発に対するエネルギーのほとんどは磁気回路の設計、振動板素材の開発などを含む平面駆動型ドライバーの研究開発に注がれています。FIIO FT5の設計、研究開発はすべてFIIOの自社内で行なっています。
FIIO FT5の最初の公開は2023年7月の日本の展示会でした。その後、FT5は3回のメジャーバージョンアップを行なっています。これは振動板の素材など最もバランスの取れた音を作るためにバージョンアップが行われました。
(ブログ補足)夏に秋葉原で開催されたポタフェスにて展示されたFT5から3回もメジャーバージョンアップがされたとのことで、ほぼ別物となっていそうですね。一方で9月に開催されたポタフェスでは製品版の仕様となっていたと日本代理店が案内していましたので、そことは一致しそうです。公開されてから約3ヶ月のユーザーフィードバックも受けながらバージョンアップのされたFT5が楽しみです。
実際に10月に開催されたヘッドホン祭りで試聴してきました。全くの別物となっていてとても素晴らしいサウンドに進化していました。
FIIO FT5 〜FIIO初の平面駆動型ドライバー搭載ヘッドホン
FIIO FT5の特徴
快適なリスニング体験を提供
平面駆動型ドライバーを搭載したヘッドホンは、複数のマグネットが積層化される形状をしていることから、ヘッドホンの重量が増加することを避けられません。このためFIIOでは音質を保証しながらヘッドホンのシェル素材で重量を調整しています。FIIO FT5はマグネシウム合金製で、この素材はアルミニウム合金の64%の体積です。マグネシウム合金を使用することでFT5の重量を減らし、快適に長時間可能なリスニング体験を提供します。
90mmの平面駆動ドライバーを採用
FIIO FT5は90mmの平面駆動型ドライバーを採用しています。従来のダイナミック型ドライバーに比べて、平面駆動型ドライバーは振動時に、振動板に対して均一の力をかけることでき、音響エネルギーは振動版ユニット全体に均等に分散され、振動板素材による歪みの影響を受けません。そしてFIIO FT5の平面駆動型ドライバーには、6μmのフィルムシートを採用しています。このフィルムはダイナミック型ドライバーのユニットに比べて非常に薄いです。一般的なダイナミック型ドライバーは22μm〜です。もちろんこの6μmの厚さは平面駆動ドライバーのヘッドホンの中で最も薄いものではありません。FIIOの研究開発の中では最も薄い振動板では1.5μmでした。FIIOが6μmを選んだ理由はバランスを取るためです。
理論的には振動板を薄く、軽くすればするほど高感度となり、高域が良くなります。しかし、振動板素材そのものの弾力性により、強い張りは歪みに繋がりやすいです。FIIO FT5では数十回に及ぶデバッグとサンプル検証の結果、最終的に6μmの厚さに落ち着き、振動板のコーティング加工を強化することでバランスの取れた音を得ることができました。
次にボイスコイルには、度重なるテストから、コイル素材には軽量なアルミニウム合金を使用し、導電性を高めるために銀を混ぜることにしました。これによりFIIO FT5の振動板は音響ターゲットに沿った軽量化に成功し、振動板が駆動しやすく、正確な高域解像度が得ることができました。この素材の重量はごく僅かで、基本的にそのコーティングに重点が置かれています。一般的な振動板のコーティング素材は、銀、アルミ、金、チタンで、密度は小さい方からアルミ<チタン<銅<銀<金となっています。FIIO FT5では、半導体業界の28nmチップレベルプロセスというハイエンドの生産技術を振動板のコーティングに応用することで、より繊細な仕上がりをもたらすだけでなく、コイルの全体の厚みを一致させ、重量が均等になるようにすることで、振動板はより高い精度と優れた一貫性を持ち、音響性能はより正確になります。
FIIo FT5では(重量の面で)着心地の良さを保証しながら、振動板の内側に11個、外側に9個、計20個の磁石を片側に配置し、合計40個の磁石を搭載しています。磁石をバランスよく配置することで、アルミメッキ合金のコイルが磁界の中に合理的に分布し、マトリックス磁気回路システムの設計を完成させることで、左右の振動板がバランスの取れた力を発揮するようにし、振動板全体の振幅の一貫性を確保、歪みを低減しました。さらに次の3つを実現しました。①音の高効率なエネルギー変換性能の実現、②1.5Tの高磁束密度のN52ネオジウム磁石を片側20個を採用し、平面振動板を強力かつ豊富な駆動力でサポート、③磁石と両サイドのコイルを平行状態に配置することで、導電性コイルが磁界中に均一に分布し、ヘッドホン駆動力を最大化し、フラットパネルヘッドホンの正確な音響性能を十分に発揮。
以上、FIIO FT5の発表内容まとめでした。
FIIO FT5は海外発売に併せて購入済みですのでレビュー記事もお楽しみに。
EARL(ライフスタイルDX)
*X(Twitter)アカウントへのリンク