FiiOが12月9日に冬のローンチイベントを行いましたので、今回もその模様をその内容を日本語に翻訳してまとめていきます。FH15とFF5の2つの新しいイヤホンが発表されました。どちらもこれまでとは大きく異なる音作りのイヤホンとなりますので必見です。発表内容を受けてインプレッションのコメントもしていますのでもしよろしければ参考にしてください。
FiiO製品における新しい名付けルール
まず今回注目はFiiO製品に関する名付け、ナンバリングルールの変更についてです。まずこちらの画像をご覧ください
下線①に当たる「M」は製品のカテゴリーを区別します。例えば現在の製品で言うとDAPであればM、DD型イヤホンであればFD、BTレシーバであればBTRとなります。次に下線②の「2」はアップグレードコード(1~9)となります。製品のアップグレードに伴い、数字が大きくなります。大きくルールが変わったのはこの2桁目の数字がアップグレードコードとなったことです。そして下線③はグレードを表します。数字が大きいほど高い製品となります。最後に④はバージョンコードとなります。K/S/Pro/Plus/Max/EVOで製品を区別されます。そのため今後の例として、FH5というイヤホンはFH15、FH25という形でアップグレードされていき、同じ世代で異なるバージョンがある場合にはFH5Proという名称になります。
FiiO FH15 ハイブリッド型イヤホン
発売日:1月27日(現地12月9日) 価格:39,600円(239.99ドル)
FH15は1DD+3BAの構成を採用しています。新開発のカーボンベースのダイヤフラムでできた10mmのダイナミックドライバーにより、歪みが少なく、クリアなサウンドを実現します。中域にはカスタムされたKnowles BAドライバーを採用し、より豊かなボーカルと音楽性の高いサウンドを可能にします。高音域には2基のKnowles BAドライバーを搭載し、高音域の解像度を高め、音楽のディテールを余すことなく再現します。またFH15にはノッチフィルターの構造をカスタマイズしました。周波数特性を見ると、1KHz〜4kHzのレスポンスが向上し、ボーカルや楽器がよりリアルに聞こえる中音域を実現します。またS.Turboアコースティックデザインを採用することで、バスドライバーが発する高域をローパスフィルターで除去し、バスドライバーとミッドドライバーの周波数特性の重なりを抑えることで、それぞれのドライバー間のまとまりと周波数特性のバランスを高め、よりクリーンでナチュラルなサウンドを実現します。
FH15のハウジングにはアルミニウム合金を採用しています。3次元の滑らから曲面にするためそれぞれのテクスチャーに3回のリファイン加工を施しています。そして龍の鱗のようなデザイン要素と組み合わせました。何十もの組み立て工程を経て、FH15は新たな龍の鱗のフェイスプレートと一体化した構造になっています。付属品も豊富で交換可能な3種類のサウンドフィルター、5種類のイヤーピース(シリコン/バランス/ボーカル/フォーム/デュアルフランジ)、交換可能な2つのオーディオプラグ(3.5/4.4mm)、152本の銀メッキ単結晶銅ケーブルが付属しています。FH15は低音、中音、高音の全てをあらゆるジャンルの音楽と相性の良いようにチューニングされています。
ここまでが公式によるFH15の発表内容です。今回フェイスプレートのデザインは龍の鱗を表した新しいデザインとなっていますが、ハウジングは旧来のF9ProやFH1を洗練させたような形となっています。またサウンドも低域よりも、中音域〜高域を意識したような発表内容で、これまでFH1S、FH3、FH5/s、FH7/sまでは比較的低音の量感が多く、ドンシャリな傾向がありましたが、よりフラットでモニターライクなサウンドバランスになっていそうでとても楽しみです。個人的にはFHシリーズはFH9を除き、低音の量感が多いのが苦手だったのでFH15はすでに欲しくなっています。また細かい点ですが、今後FIIOのイヤホンのプラグは3.5mmと4.4mmのみとなるようですね。
(追記)発売日に購入をしまして、最速レビューを行いました。
FiiO FH15 実機レビュー 〜FH5と比較も
FiiO FF5 イントラコンカ型イヤホン
発売日:1月20日(現地12月9日) 価格:23,100円(129.99ドル
続いてFF5です。前作のEM3、EM5、FF3から、今回のFF5までFiiOはインイヤー型イヤホンの探究心を絶やしたことはありません。FF5は花びらにインスパイアされた、美しさと機能性を兼ね備えたデザインが特徴です。FiiOの開発チームはFF5のシェル内で不要な反射や振動を減らすことを目指し、イヤホン内の空気圧の一部を外部に拡散させる音響ダンピングデザインを搭載したディフューズオープン設計の開発に至りました。その結果、不要な内部反射や定在波が減り、よりピュアなサウンドで、低音レスポンスが改善されています。FF5は重低音を重視せず、女性ボーカルに特化したイヤホンとして設計しました。そのため女性の声の周波数帯域やピッチの表現に気を配りました。
カーボノンファイバーの軽量化により、高音域の性能に優れ、ボーカルやギター、シンバル、バイオリンなどの楽器の倍音がクリアに表現され、よりニュアンス豊かで重厚なサウンドを実現します。また女性ボーカルキラーとしての完成度を高めるため、4芯撚りの銀メッキ単結晶銅ケーブルも特別に設計したものです。このケーブルにはMMCXコネクターと交換式の3.5/4.4mmオーディオプラグを装備し、まさに透明なサウンドを実現します。
ドライバーは大きければ大きいほど低音性能が向上します。しかしそれは装着感にも影響します。FF5では14.2mmというダイナミックドライバーを採用することで、多くのユーザーの低音性能と装着感を両立させることができています。さらにFF5には他の高級イヤホンでも採用されているアルミニウム合金を採用し、高い耐久性を維持しながら軽量化を実現しています。片耳あたりの重量はわずか3.4gです。滑り止め用のリコンリングをMサイズとLサイズの計6組を同梱しています。
FF5については発表前でかつ日本最速で入手し、下記の記事で実機紹介とレビューを詳細に行っていますのでぜひご覧ください。FF3との比較も行っています。
以上、FiiO2022冬ローンチイベントの発表内容でした。
いかがでしたでしょうか。直近のFiiOイヤホンとしてはどちらも音作りが異なっています。旧世代、現代、新世代を区分してFH15、FF5を新世代とした時に、前述した通り、現代はドンシャリタイプのイヤホンが多く、その中でFH9やFD7のような中音域〜高域に優れた特徴を持つイヤホンがフラグシップとして存在していました。そして新世代は旧世代と似た中音域〜高音域を意識した音作りに回帰しているように感じました。といってもこれまでのFIIOイヤホンの技術が結集されていますので、旧世代の良さを感じつつ、新しいFIIOの中音域〜高域の魅力的な音作りにワクワクが止まりません。特にFH15は試聴できる機会が来るのがとても楽しみです。そしてこのFH15、FF5の傾向を受けて、来年のAKMチップを搭載したFIIO DAP/DACの復権があるのではないかと推察しています。これまでESSチップを搭載した上流に合わせて、ドンシャリ傾向のイヤホンが続いていましたが、今回FH15やFF5はフラット、モニターライク、中音域〜高域に標準を合わせたイヤホンとなるので、AKMチップを搭載したDAP/DAC開発に向けた布石なのではないかと思いました。
EARL(ライフスタイルDX)
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