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FIIO FF5のレビュー記事です。FIIO FF5は11月28日にFiiOより公表のあった新型のイントラコンカイヤホンFF5で、本邦初公開の実機紹介とレビューをしていきます。またFiiO FF3も持っていますのでその比較もできたらと思います。さらに中国での公式発表よりも前に入手することになったので、事前情報のあまり入っていないレビューとなっており、よりご参考にしていただきやすい純粋なレビューとなっていると思います。
FiiO FF5はディフューズ(拡散)オープンという新設計のイントラコンカイヤホンです。詳しくは後ほどご紹介しますが、FiiO FF3から何もかもが一新されたイヤホンでサウンドの特徴も大きく違っています。リケーブル可能という点に目が行きがちですが、実際に見て、聴いてみるとそれだけではない、FiiOのこだわりが随所に感じられるイントラコンカイヤホンとなっています。
第一印象で、FiiO FF3はずっしりと重いのに対して、FiiO FF5は非常に軽いです。実測した重さもFF5はFF3の約半分の重さです。そして音の印象では、FF3はウォーム寄りで、低音が太鼓のように響くのが特徴でしたが、FiiO FF5は低音よりも中高域(男性の高い声や女性ボーカル、ギターの高い音)が強調され、詳細にくっきりしている印象を受けました。低音はイントラコンカで抜けていく感覚というよりもカナル型のセミオープンイヤホンに近い感覚で抜けていきます。そのためFF3よりも低音が減衰していることによって、ボーカルの声がより近くで聴こえます。個人的にはFiiO FF5とFF3がどちらが良いかというよりも、キャラクターは全く異なり、ぜひどちらも持っておいて欲しいイントラコンカイヤホンです。なお、最初の試聴にあたってはバランスタイプのドーナツ状のイヤホンカバーを装着していますので、低音タイプの完全に覆うイヤホンカバーだとよりセミオープンに近い感覚になりそうです。
と簡単なインプレッションはここまでにして、それでは早速、FiiO FF5の実機紹介とレビュー、FiiO FF3との比較を詳細にご紹介していきます。まだエージング前に箱だしの感想になりますので今後、変わった点があれば追記していきます。
初めに:FIIOについて
FIIOを初めて耳にする方向けに公式の会社概要を以下の通り、意訳して抜粋します。すでにご存知の方は読み飛ばしてください。なお、社名の表記が「FiiO」から「FIIO」に変更されました。
FIIOは2007年に中国で設立されたオーディオメーカーです。デジタルオーディオプレイヤー(DAP)、イヤホン、多種多様なポータブルオーディオ製品を自社で研究開発、生産し、グローバルに販売をしています。ブランド名である「FIIO」は、Fi (Fidelity) と iO (1 and 0)に由来し、デジタルが生活に与えるよりリアルな体験とより便利な生活を意味しています。また中国語では「飞傲」と表記し、これは「FIIO」の音訳であり、春のような活気と青空に飛び立つ積極的な進歩と常に革新を続ける企業精神を象徴しています。FIIOはユーザーの声を非常に重視し、製品設計を絶えず改善し、消費者により多くの良質で高付加価値の製品を提供するための努力をしています。
FIIOのビジョン:中国製の評価を高める
https://www.fiio.com/About_FiiO
FIIOのブランド精神:オーディオは無限である
FIIOのビジネスは「オーディオ」に関する製品やサービスを提供することで、無限の楽しみのある「オーディオエコシステム」を構築することです。FIIOは高品質なオーディオデバイスを販売するだけでなく、FIIOが提供する製品やサービスを通じて、ユーザーに喜びを感じてもらうように努力をしています。
海外メーカーというとサポート面を不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。中国FIIOへ直接問い合わせをしたこともあり、対応はとても良いです。日本メーカーのようにその場でサポートということは難しいかもしれませんが、真摯に対応してくれるメーカーですので安心してご検討ください。さらにFIIOはWeiboという中国SNS上で担当者が日々、ユーザーと意見交換をしています。また製品開発過程においてアンケートも実施していて、ユーザーに寄り添った製品開発を行なっています。
FiiO FF5 概要と実機紹介
発売日:2023年1月20日 価格:23,100円
FiiO FF5 位置付け
FiiO FF5はFiiO初のリケーブル可能なイントラコンカ型イヤホンです。FiiOのイントラコンカ/インイヤーイヤホンでは、2016年にEM3、2018年にEM3K/S、2020年にEM5、2022年にFF3と6年間で4世代の製品があり、このFiiO FF5は第5世代のイントラコンカ/インイヤーイヤホンとなります。過去の発表でFiiOはインイヤーイヤホンを商業的価値よりもブランド価値のための製品と位置付けています。まさに今回のFF5もFiiOのブランド価値を高めるような魅力に詰まった面白いインイヤーイヤホンとなっています。
FiiO FF5 特徴
もっとも特徴的なのはディフューズ(拡散)オープン構造です。これまでFiiOのカナル型イヤホンでセミオープン型というものはありましたが、このFiiO FF5もイヤホン本体の背面全体がメッシュになっています。デザインもFH9やFH7sといったセミオープンタイプのFiiOのカナル型イヤホンと似ています。
FiiO FF5には14.2mmのダイナミックドライバーが搭載され、素材はPUガスケット+カーボンベースのダイヤフラムとなっています。FF3とドライバーサイズは同じですが、FF3の素材はベリリウムメッキとなっていました。もう一つ大きな違いとして、FiiO FF5とFF3のイヤホン本体の重さです。FiiO FF5が片方で4g〜4.5g、対してFiiO FF3は8g〜8.5gでしたので約半分の重さです。元々FiiO FF3を持っていたので、FiiO FF5を最初に持った時にかなり軽く感じました。
その他でやはり注目はリケーブル可能となった点になります。MMCXケーブルと互換性があります。しかしイントラコンカ型なので通常はシュア掛けでの装着をしないためケーブル自体はストレートタイプとなっています。これによりカナル型イヤホンのMMCXケーブルも使えますが、シュア掛けをする、癖を取り除くなどの工夫が必要になりそうです。
FiiO FF5 FiiO公式情報の特徴
- 14.2mmの大型ダイナミックドライバー
- PUガスケット+カーボンベースのダイヤフラム
- 低音拡張の音響抵抗パイプ
- 合計392本の4芯、銀メッキ単結晶銅ケーブル
- 取り外し可能なMMCXケーブル
- 3.5/4.4mmオーディオプラグが付属
- 拡散型のオープンデザイン
- 6種類のカバー
- 微調整された周波数特性
- CNCアルミニウム合金構造
FiiO FF5 同梱物
FiiO FF5の同梱物は、イヤホン本体、ケーブル(装着済)、イヤーカバー(イヤーチップ)が5種類、交換プラグ(4.4mm)、MMCXアシストツール、ハードケース、説明書です。純正のケーブルでも3.5mmと4.4mmのプラグ交換が可能で、バランス接続も新たにケーブルを購入しなくても可能です。
またFiiO FF5では新たにシリコンタイプのイヤーカバー(シリコンリング)が2種類付いてきました。その他3種類のイヤーカバーはFiiO FF3と同じく、低域、バランス、高域の3種類のイヤーカバーです。
今回正規ルートの入手となったので説明書に日本語表記があり、イヤーカバーの付け方やMMCXの取り外し方、プラグ交換方法が記載されています。特殊な扱い方はなく、どれも簡単に装着、交換可能です。
FiiO FF5 装着感のレビュー
まず装着感です。これは好みもありますが、個人的にはイヤホン本体が軽い方がつけ心地が良いと感じていて、FiiO FF3に対して、FiiO FF5は軽いのでより装着感は良いです。一方でインイヤーなのでカナル型のような強い密閉感、保持力がないために耳の形が合わないと軽いと外れやすかったり、スカスカになりすぎたりする可能性があります。私は特に装着感で問題はありませんでしたが、スポンジなしだとややスカスカなのでその際にはシリコンリングが必要でした。今回レビューにあたっては、バランスタイプ(ドーナツ状)のイヤーカバーと新しく付属されたシリコンリングを試してみました。シリコンリングはつけ心地がスムースで良かったです。夏はシリコンリングが良さそうです。ただし音はより抜けやすくなっているので、しっかり聴きたい時はスポンジタイプのイヤーカバーが良さそうです。
FiiO FF5 サウンドレビュー
箱だしの5時間程度の試聴レビューという前提条件でお読みください。今後エージングを経て変わった点があれば随時更新していきます。
たぶんFiiOのイントラコンカを初めて聴く人にとっては低域がしっかり出ていることにまず驚くと思います。さらに中高域〜高域の解像度もしっかりしていることに感動すると思います。そこからFiiO FF5は中高域〜高域(男性の高め声や女性ボーカル、ギターの高い音)が強調され、よりくっきりしています。また低域もタイトになっています。聴く人によっては高域寄りに感じられるのと、再生機によっては高域が刺さる場面もありそうです。しかしイントラコンカでここまでボーカルと高音がはっきりと詳細に聞こえるのは初めてです。FiiO FF3では濃厚で心地よい低域に感動しましたが、FiiO FF5では中高域〜高域の解像度、明瞭感に感動しました。FiiO公式の説明でもFiiO FF3は低域から中低域を、FiiO FF5は中高域〜高域を、フォーカスしているとのことでしたが、まさにその通りだと思います。ただしどちらもそれぞれ得意な帯域以外が出ていないということではありません。FiiO FF5の場合はディフューズ(拡散)オープン構造によって、開放型のヘッドホンやセミオープン型のイヤホンのように低域がFiiO FF3よりもしっかり減衰していて、これによりボーカルや高音がより近くに、詳細に聴こえています。ただしボーカルが近いことでFiiO FF3よりも音場が狭くなっている印象があります。またFiiO FF3はウォームよりのサウンドで聞き疲れしにくい面がありましたが、FiiO FF5は高域までの解像度が高く、やや聴き疲れしやすいきらいがあります。このようにFiiO FF5は解像度の高さの裏腹な側面もあるので、バランス接続よりもアンバランス接続がおすすめです。アンバランス接続では高音が少し抑えられて、ハイブリッド型のイヤホンで、高域をBAドライバーが担うイヤホンのような上品で、透明感のあるボーカル、高音が楽しむことができます。
以上、FiiO FF5の日本最速レビューと実機紹介でした。
最後に:FiiO FF5とFF3をどう選択すべきか
FiiOがFF5を発表したことで、FF3とFF5で悩まれる方も多いと思います。またFiiO FF5はリケーブル可能ということもあって、せっかくならリケーブル可能なものをと思われるかもしれませんが、その選び方は良くないかもしれません。それはFiiO FF5とFF3で全くキャラクターが異なるからです。私はFiiO FF5とFF3のどちらも持っていて、どちらもとても気に入っていますが、人によっては好みによる相性がありそうです。個人的には前述の通り、キャラクターが異なるので両方揃えても良いと思うものの、例えばどちらか一方をと思った際にはできれば試聴をして好みのサウンドの方を選ばれるのが良いと思います。わかりやすいように極端に表現すれば、FF3はウォームで、低域が特徴的です。FiiO FF5はボーカルや高音がよりくっきりと聴こえて、やや乾いたモニター調のサウンドにも聞こえます。FiiO FF3もボーカル、高音の解像度が低いわけでも、FiiO FF5が低音が出ていないわけではありませんが、特徴をはっきりと色分けすると前述のような区分になると思います。
FiiO FF3のレビュー記事は下記となります。
FiiO FF3 日本最速の実機紹介&レビュー!
EARL(ライフスタイルDX)
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