FIIO S15が12月18日に中国で発売となりましたので、最新情報とレビュー情報を日本語でまとめていきます。
FIIO S15販売情報
発売日:2024年12月18日(中国) 価格:6999元(約15万円)
FIIO S15はR7とR9の間に位置する価格となりました。AKMフラグシップ構成等、R7からは相当程度、内部コンポーネントが強化されていることから、順当な価格設定となっています。日本での発売価格はデスクトップ製品がかなり割高になりやすい製品群のため、20万円前後を予想しています。
FIIO S15 製品情報
フラッグシップ仕様
FIIO S15は、AKM社製フラッグシップDAC「AK4191+AK4499EX」を採用。デジタルとアナログを完全に分離した最新の設計技術により、FIIO独自の「DWA ROUTINGテクノロジー」を実現。これにより、背景ノイズの徹底的な除去、高い解析度、そして伸びやかな音質を提供します。自然で奥深い音楽体験をお楽しみいただけます。
さらに、業界で高い評価を得ているACCUSILICON AS318-Bシリーズの超低位相ノイズ水晶発振器(45.1584MHz、49.1520MHz)を2基搭載。厳選されたこの発振器により、位相ノイズの影響を最小限に抑え、デコード精度とデジタル出力の精密性が格段に向上。パワーアンプやDACと組み合わせても、リファレンス級の音質をお届けします。
さらにS15は次の3つのフラッグシップシステムを搭載
- Qualcomm Snapdragon 660
- Qualcomm Bluetoothチップ QCC5125
- 16コアXMOS XU316
これらの組み合わせは長年にわたる改良と最適化を経ており、S15はあらゆるリスニングシーンで優れた安定性と性能を発揮します。
豊富なインターフェース
S15は、幅広いデバイスとの接続ニーズに応えるため、豊富なデジタルおよびアナログインターフェースを備えています。新たにI2S出力、AES入出力、同軸入出力、HDMI入出力(ARC対応)、RCAライン出力、光デジタル入出力、XLRバランス出力が追加されています。
内部構造にもこだわり、理想的な音質を追求:
- 同軸出力とAES出力には、光デジタル並みの絶縁性能を持つデジタルトランスを採用
- XLR端子にはNEUTRIK製高精度端子を使用し、安定した接続を実現
- RCA出力には銅メッキジャックと無酸素銅ケーブルを採用し、高忠実度と低損失の信号伝送を保証
柔軟な操作性
S15は、オープンなAndroid 12システムとカスタム横画面UIを採用。デスクトップを自由に編集でき、よりパーソナルな操作体験を提供します。専用のFIIO Musicアプリも搭載され、音楽再生や設定を簡単に管理可能。さらに、VUメーターなどの視覚効果も楽しめます。
7.84インチの車載グレード大画面と新しいFIIO OSにより、操作性がさらに向上:
- デュアルノブ+デュアル仮想キー設計で、直感的な操作を実現
- 付属のBluetoothリモコンで、再生や音量調整をリモート操作可能。お気に入りへの登録もワンタッチで完了
- スマートホンのように操作可能な専用アプリでコントロール可能
その他
FIIO S15には、35W低ノイズ線形電源、全バランス設計のアナログオーディオ構造、および物理的な基板分割とシールド設計が採用されています。これにより、ノイズを抑えつつ純度の高い音質を実現し、あらゆる場面で最高のパフォーマンスを提供します。
FIIO S15 レビュー情報
FIIO S15の革新的な設計と性能
FIIO S15は、FIIO初のフルサイズデスクトップ機として設計され、幅43cm、高さ約9cm、奥行き28cmという「業界標準サイズ」のボディを採用。サイズの増大により、機内の部品配置が非常にゆったりとしており、従来のコンパクトモデルとは異なる精密性と高い設計品質を実現しています。また、外装はアルミ合金パネル(CNC加工、最厚部16mm)と1.5mm厚のスチールシャーシを使用し、高い堅牢性と耐久性を誇ります。
内部構造は電源基板、デジタル基板、アナログ基板の3つに分かれており、各パートが明確に独立しているため、優れた電気的特性を確保しています。電源には35VAのカスタムトロイダルトランスが採用され、電圧選択スイッチも装備。主要コンデンサにはELNA 4700µFが使用され、振動による経年劣化を防ぐための固定処理が施されています。
ストリーミング DACとしての特徴と利便性
FIIO S15は、Android 12 OSを搭載し、高通Snapdragon 660プロセッサによる高度なデータ処理を実現。NAS、SSD、SDカードなど、多様なストレージオプションを利用可能です。また、Wi-Fi接続に加え、有線LANポートを装備しており、高速かつ安定したデータ転送が可能です。HDMIポートは3基搭載され、HDMI ARCやIIS形式の信号出力に対応。AES、同軸、光デジタルなどの入力/出力端子も充実しています。特に、XLRバランス端子の追加により、プロフェッショナル用途にも対応する柔軟性を持っています。
サウンドと使用体験の向上
FIIO S15は、AKM製のAK4191EQ+AK4499EXEQ DACチップを搭載し、デジタル信号とアナログ信号の処理を完全に分離。PCM 384kHz/32bitやDSD256に対応し、ACCUSILICON製の低位相ノイズ水晶発振器により音の純度を極限まで高めています。クラシック音楽では、弦楽器のニュアンスが美しく再現され、高域は滑らかで品のある広がりを持ちます。一方、ジャズの再生では、奥行きのある音場とピアノの粒立ちが際立ち、背後の楽器との分離感が非常に良好です。このように、音楽のジャンルを問わず、S15は自然で高解像度なサウンドを提供します。
ユーザーインターフェースと操作性
FIIO S15の操作性は、7.84インチの横向きタッチスクリーンと、新たに採用された直感的なUIが特徴です。FIIO Music専用のVUメーターは、双針デザインで視覚的に楽しめる上、バックライト色の変更が可能。さらに、タッチ操作だけでなく、物理ダイヤルやリモコン、FIIO Controlアプリを使用した遠隔操作にも対応しています。UIでは再生モードが11種類用意されており、設定画面や操作のカスタマイズ性も高い一方、一部のアイコンの認識性向上や確認ダイアログの改善が求められています。
デジタルとアナログの調和
フルサイズのボディは、デジタルとアナログ両面の高度な設計を支える基盤となっています。たとえば、M.2 NVMe SSDスロットは、簡単に取り付け・取り外しが可能なメカニカルロックを採用。USB Type-C接続でSSDや外部デバイスとの高速通信をサポートします。また、豊富な入力/出力ポートにより、さまざまなオーディオシステムとの組み合わせが可能です。これにより、家庭用オーディオやプロフェッショナル用途の両方で活用できる汎用性の高さを実現しています。
総括
FIIO S15は、音質、設計、操作性、そして多機能性の全てを高次元で両立させた製品です。その音響性能はもちろん、ユーザー体験やUI設計にも多くの工夫が施され、デジタルオーディオ市場に新たな基準を打ち立てました。価格は6999元(約15万円)でオーディオファイルからプロフェッショナルまで、幅広いニーズに応える一台となっています。
EARL(ライフスタイルDX)
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