人気ゲーミングDACのAstro Mixamp proが4,000円という破格の安さで手に入りましたので、このMixampと当ブログでPS5向けにおすすめしているBTA30proと徹底比較していきたいと思います。Mixampはこれまで多くのYoutuberやSNS、ブログで取り上げられていますが、ゲーミング製品のサウンドブラスターやGameDacとの比較はあっても、オーディオ機器と比較したレビューは少ないと思います。そこでゲーミング機器であるMixampとオーディオ機器であるBTA30proのどちらがPS5向けのDACとして良いのかを徹底比較していきます。
結論としては当ブログでは引き続き、オーディオ機器のBTA30proをおすすめします。PS5はPCゲームと異なり、テレビやスピーカーと接続して楽しむ方も多いと思うのでやはり高音質サポートやワイヤレス化は必須だと思います。しかしいまだに根強い人気のあるAstro Mixampなので、この記事ではPS5向けとしてAstro Mixampがおすすめできない理由と逆にどういうケースではオーディオ機器と比較してもおすすめできるのかをまとめました。
また今回はこの2つに加えて、10年前の2011年に発売されたFiiOのD5という製品とも比較します。D5と比較する理由はAstro Mixampがいかにゲーミング製品というブランド価値が製品価格に上乗せされているがわかるためです。製品価格が高いということが認知されて、Astro Mixampが性能に見合った価格まで下がればオーディオ機器と比較してもおすすめできると思います。
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Mixamp / BTA30pro / D5 比較表
それでは早速比較表です。あくまでPS5で使う場合の比較です。
比較項目 | Astro Mixamp Pro TR | BTA30pro | FiiO D5 |
外観 | |||
メーカー | Astro(ロジクール取扱) | FiiO | FiiO |
発売年 | 2019年 | 2021年 | 2011年 |
価格 | 18,323円 (本体+アダプター4,045円) | 19,800円 | 2,970円 (発売当時) |
PS5とのUSB接続 | 対応 | 対応 | 対応 |
アナログ入力 | AUX | なし | マイク入力2つ |
アナログ出力 | AUX ヘッドセット(マイク入力) | RCA | ラインアウト ヘッドホン端子 |
デジタル入力 | マイクロUSB | Type-C USB 光デジタル Coaxial(同軸) | USB mini B |
デジタル出力 | なし | 光デジタル Coaxial(同軸) | Coaxial(同軸) |
Bluetooth | なし | 送信、受信 | なし |
対応Bluetooth規格 | ー | aptX LL、LDACなど | ー |
イコライザー機能 | あり | なし | なし |
最大サンプルレート | 16bit 48kHz | 384kHz/32bit | 16bit 48kHz |
推奨形式 | Dolby | 特になし(PCM,DSD) | なし |
パソコンとの音声ミックス | 可能 | 可能 | 可能 |
インターフェース | わかりやすい | わかりにくい | わかりやすい (ミュートボタンあり) |
専用ソフト/アプリ | あり(PCのみ) | あり(アプリ) | なし |
Astro Mixampがおすすめできない理由
BTA30proとの比較からAstro Mixampをおすすめできない理由を挙げてみます。
①最大サンプルレートが10年前の音質
これが最もMixampをおすすめできない理由です。私自身もゲーミング機器ではなく、オーディオ機器を買うことになって重要性に気付きました。このサンプルレートをゲームの重要な指標に例えてわかりやすく説明するとフレームレートです。今のゲームを30fpsでやってくださいと言われたら、カクカクしすぎて無理だと思います。つまりAstro Mixampの音の解像度は30fps並みに性能が低いということです。これによって足音が聞こえにくかったり、ゲームが立体的に聞こえにくかったりします。Astro Mixampはこの弱点を補完するためにイコライザー機能をつけたり、Dolbyサウンドを導入していたりします。しかし、これらの機能は音の解像度が低いからこそ必要なのであって、BTA30proも含め一般的なオーディオ機器は高解像度の音を出力することができます。そのためオーディオ機器のDACを使えばイコライザー機能がなくてもゲーム本来の音を正確に聞くことができます。これにより定位感が良くなり、足音が良く聞こえます。また高解像度なので細かな音も表現できていて、立体感もヘッドホンを使うだけで感じることができます。イコライザーを使うとどうしてもゲームの音を不自然に変えてしまうことになるため、PS5のようにゲーム体験も重要なコンソール機には向いていないと思います。なお、今回は定量的に差を確認しやすいためにサンプルレートという指標を使っていますが、必ずしもこれだけが高いから音質が良いわけではないので注意しましょう。
②USB以外のデジタル出力がないので拡張性がない
次にUSB以外のデジタル出力ができないことで次世代機器との接続を難しくし、拡張性がないことです。Astro Mixampはアナログ出力しかないためにAstro Mixampの持つDAC(デジタルからアナログへの音の変換*)機能以上の音質、解像度にすることが不可能になっています。一方でデジタル端子から出力ができれば、PCやゲームの音を劣化させずに別の次世代機に転送することができます。仮にデジタル端子があればAstro Mixampがまさに今、性能として劣後しつつあってもユーザーインターフェースの使いやすさを活かしながら、高解像度な音の変換を次世代機に任せるということができます。またデジタル出力があればオーディオインターフェースに対してもゲームの音源を劣化させずに入力することができます。これによって配信等でも現役で使うことも可能になります。
BTA30proはもちろんですがD5もこのデジタル出力が可能となっています。これによりD5がUSBでPS5と接続し、Coaxial(同軸デジタル)でゲームの音をデジタル出力してBTA30proなどの高性能なDACやオーディオインターフェースに入力することができます。これによってD5が持っていないBluetooth機能やオーディオインターフェース機能を使うことができるようになります。デジタル出力があるだけでAstro Mixampより格段に拡張性が高くなります。このようにデジタル出力の有無は拡張性に関わるので非常に重要です。
*デジタルからアナログへの変換で、なぜ性能が関わるのかという点について補足します。
これも例えて説明すると言語の翻訳です。デジタルとアナログは全く別の言語で、例えば日本語しかできない人と英語しかできない人が会話しても話が通じません。そこで翻訳機や通訳を介して会話することになりますが、この翻訳機の性能が低かったり、通訳の能力が低かったりすると会話のニュアンスや意味の全てが伝わらないということがあります。これがデジタルとアナログの変換(DAC)においても同じことが起きます。DACの性能が低いと正確な音で変換することができません。
③価格が高い
Astro MixampをPS5に使う場合、アダプター込みで1.8万円近くします。またアダプターなしで使う場合でも1.4万円します。さらに中古で買おうと思っても8千円以上します。今回、私は奇跡的に4千円という格安で入手できましたが、かなり辛抱強く中古品を探してこの価格です。この1.4万円という価格は一定以上の性能を持つオーディオ機器のDACを購入することができます。これもD5と比較になりますが、Astro MixampのDAC性能は10年前のオーディオ機器と同等かそれよりも低く、それでいて1万円以上します。中古のDACであれば、Mixampと同じ価格を出すとさらに性能の良いオーディオ機器のDACを買うことも可能です。オーディオ機器のDACでは高音質に音楽を聞くなど汎用的に使うことができるようになります。
しかし、PS5とUSB接続できるDACは少ないので慎重に選ぶ必要があります。例えば「同価格帯、中古」で探すとFiiOのE17という機種があります。これはPS5とUSB接続が対応していて、イコライザーはミュージック用のプリセットは用意されています。発売年は2012年と10年前のDACで今は販売していいませんが、中古で8千円出せばすぐに買うことが可能です。私は中古で4,400円で買えたので、焦らなければ安く買うことも可能です。このE17であればサンプルレートも24bit/96KHzまで対応していて、Mixampと同じようにPS5と光デジタル接続すれば24bit/192KHzまで対応します。このようにAstro Mixampはユーザーインターフェースは優れているものの、肝心の性能が販売価格と見合っていません。
<FiiO E17>
なお、BTA30proをPS5向けとして最もおすすめしている理由はBluetoothを使ってワイヤレス化できることです。この記事では詳細は割愛しますので、PS5のワイヤレス化が気になる方はこちらからご覧ください。
PS5対応のおすすめUSB DAC!FiiO BTA30proのご紹介
Mixamp Pro TRをおすすめできるケース
「手軽に入手できてMixampだけで完結させたい」という場合におすすめします。ただし、Astro Mixampを買うのであれば、同じ価格帯のSteelseries GameDac Gen1のスペックは良いと思います。GameDac Gen1はオーディオ機器でも使われるDACチップを搭載していて、実際に使いましたが、ハイレゾモードは音質もMixampよりはるかに良く、また足音が聴こえやすくなる調整が最初からされています。なお、Mixampでイコライザーすれば同じと思うかもれませんが、イコライザーという機能はあくまで補完的なもので、イコライザーをかければかけるほど音質が劣化します。元の性能値が悪いとイコライザーをかけてもさらに劣化させることになるのでご注意ください。以下のおすすめ理由はSteelseries GameDac Gen1にも当てはまります。
Steelseries GameDac Gen1:Amazon
Mixampおすすめのケース①手軽に入手できる
PS5に限って言えば、PS5に対応してかつ価格の安いDACを探すにはそれなりに労力がかかります。それに比べてMixampは売り切れる心配がないぐらい常に在庫が存在していて、リセールバリューもあるので新品、中古品のいずれも手軽に入手しやすいというメリットがあります。
このPS5におけるDACやオーディオインターフェイス接続の難点についてはこちらの記事で解説しています。
PS5が抱える音声出力問題はPS4にあった光デジタル端子が廃止されたことにより、PS5が多くのオーディオインターフェース(広義にオーディオ機器:USB DACなど含む)に接続できなくなったことに起因しています。これによりHDMI以外で音声出力するためにはUSBで接続するか、アナログ接続(コントローラ...
Mixampおすすめのケース②Mixampで完結する
例えば今回比較しているBTA30proをPS5で使う場合にはそのメリットを最大限享受するために低遅延のaptX LLに対応したワイヤレスヘッドホンやイヤホンを用意する必要があります。また3.5mmステレオミニプラグの有線イヤホンを使う場合にはRCAからの変換アダプターも必要になります。もちろんMixampでもヘッドセットを用意する必要がありますが、最初に書いた通りMixamp自体が高いスペックを持っていないのでそれに合わせた特定スペックの周辺機器が不要です。このように高性能なオーディオ機器をゲーム用にするためにはそれを活かすためのヘッドホンなどの周辺機器を用意する必要があるので、DACとしての性能を無視すればMixampはゲーム用として一つの機器で完結できるインターフェースを持っています。
最後に
ここまでゲーミングDACのAstro MixampとオーディオDACのBTA30proの細かなスペックを比較しながら、実際にMixampがおすすめできない理由とおすすめできるケースについて解説しました。
結論として私が最も伝えたいことは”Astro Mixamp Pro TRはスペックに対して価格が見合っていない”ということです。どうしてもゲーミングDACが欲しい場合にはSteelseries GameDacが良いです。
Steelseries GameDac Gen1:Amazon
これはMixampのスペックであれば個人的には6,000円程度が妥当と考えているからです。中途半端に1.4万円も出すのであればBTA30proを買ってaptX LL対応のヘッドホンを買った方が確実にゲームは快適にできると思います。私はこの方法でFPSゲームをやっていますが、BTA30proのような音をしっかり表現できるオーディオ機器であれば、Mixampのイコライザーやサラウンドがなくても足音がしっかり聞こえますし、立体感も実現します。そのため決してMixampの性能が悪いわけでなく、販売価格が性能に見合っていないためにその高い価格帯に並ぶ高性能なDACと比較したらそれは性能が劣るということです。どうしてもゲーミングDACのインターフェースが欲しい方は、SteelSeriesのGameDAC Gen1/Gen2またはNova Pro Wirelessをおすすめします。その理由については以下のゲーミングDACの主要製品のオーディオ性能を比較記事をご覧ください。おすすめのGameDac Gen1のレビューやGen2のスペック解説をしています。
ゲーミングDACって本当にPS5・ゲームの音を良くしてる?最新DAC含む主要7製品のオーディオ性能を比較
EARL(ライフスタイルDX)
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