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本日8月25日にSIE(Sony Interactive Entertainment)がAudeze買収を発表というニュースを見て、久しぶりにPS5関連記事の更新です。この買収は非常に興味深く、いくつかの個人的な注目点に整理してまとめていきたいと思います。あくまで個人的な所感になりますので、一意見とご理解ください。
注目点①:ソニーのプレステーション部門によるAudeze買収
SIE(Sony Interactive Entertainment)とはプレイステーションのハードウェアを初め、ソフトウェアやネットワークサービスの事業を手がけるSonyの子会社になります。そのため、今回ソニー本体ではなく、このプレステーションに関する事業を手掛けるSIEが買収したことに注目しています。その理由としてはSIEが販売するPULSEシリーズのヘッドホンやイヤホンにこの買収したAudezeの技術が展開される見込みだからです。
このPULSEシリーズとしては、現在PS5の純正ヘッドセットとして「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」があります。このヘッドホンはPS5と親和性が高く、このヘッドホンを使うことでPS5内でイコライザー設定ができ、他のハードやソフトウェアを利用せずにPS5とPULSE 3Dで完結することできる点が魅力です。しかしながら、過去このPULSE 3Dを購入して使っていましたが、装着感が非常に悪く、音質も値段相応で特筆すべき点がなく、PS5との親和性以外でははっきり言っておすすめできる製品ではありませんでした。またソニー本体も「INZONE」というブランドでゲーミングヘッドホンやモニターを発売しましたが、現在は発売当時ほど話題になっておらず、値下げをされているのをよく見る状況です。
詳細なレビュー:
PS5純正ヘッドセット PULSE 3Dのレビュー
INZONE体験会レポートとスペック解説!
このようにソニー、SIEから発売されているゲーミングヘッドホンは発売当時に期待していただけに残念に感じていたところ、今回SIEがAudezeの買収を発表し、その技術を展開すると聞いて改めて期待が高まっています。
注目点①:ソニーのプレステーション部門によるAudeze買収
2点目はSIEが買収したAudezeが持つ技術についてです。Audezeの日本代理店の完実電気HPのブランド説明には以下の記載があります。
米国AUDEZE社は、軍事用コミュニケーションシステムとして平面磁界型スピーカードライバーを開発し、歪が少なく、明確に音声が伝わると、高い評価を受けました。 その後、宇宙航空産業用に開発した音声通信技術を平面磁界ドライバーに応用した業務用スピーカーの開発に成功し、2008年 「AUDEZE社」を 設立しました。 平面磁界ドライバーを搭載した試作機 が、CanJam, Head-Fi.org から評価され開発の継続を決定、翌年に業界初平面磁界タイプのヘッドホン LCD-2を発表。 平面磁界型ヘッドホン、イヤホンの 「先駆者」として、その地位を確立しました。 アーティストが意図した音を正確に再現することを最大の目的とし製品開発が日々進められおり、それらを可能にする為「オーディオ」「材料科学」「防音」といった様々な分野の専門家がチームとなり革新的技術の開発を日々行っています。
完実電気HP(https://kanjitsu.com/product-brand/audeze/)
赤字にした文章にある通り、Audeze社は平面磁界型ドライバーに精通したオーディオ機器メーカーとなっています。この平面磁界型ドライバーというのは高級なヘッドホンにも採用されるドライバーで、音質面で非常にメリットの多いドライバーになります。一般的なヘッドホンにはダイナミックドライバーというドライバーが採用されていて、前述のPULSE 3DやINZONEシリーズのヘッドホンはダイナミックドライバーが搭載されています。ただしゲーミング製品にはこの平面磁界型ドライバーを採用した製品はほとんどありません。一方でそのほとんどない平面磁界型ドライバーを搭載したゲーミングヘッドホンをAudeze社は製品としてすでに持っていることもさらに期待が高まるポイントです。
注目点③:SIEの新作イヤホン/ヘッドホンに平面磁界型ドライバーが採用予定
最後の注目点としてSIEが発売を予定している「PULSE Explore(ワイヤレスイヤホン)」と「PULSE Elite(ワイヤレスヘッドホン」のいずれにも平面磁界型ドライバーが採用予定となっています。当初発表時点では外観と価格のみで、その価格がPULSE Exploreで約3万円、PULSE Eliteで約2万円と高価であったことから、個人的にまた価格だけ高くて、質が伴わないのでは?と心配をしていました。しかし、平面磁界型ドライバーを採用するとなるとだいぶ話が違ってきます。前述の通り、平面磁界型ドライバーは高級なオーディオ機器に搭載されるドライバーだけあって、そもそも搭載するイヤホンやヘッドホンは高価なものが多いです。その中で、ワイヤレスイヤホンで3万円、ヘッドホンで2万円であれば、価格としては高いですが、平面磁界型ドライバー搭載の中では比較的、手に入りやすい価格となります。
また平面磁界型ドライバーに期待する理由ですが、PULSE 3Dなどにも採用されるダイナミックドライバーに対して、平面磁界型ドライバーは広い周波数応答、低い歪み、高い解像度を持つと言われています。実際に私も平面磁界型ドライバーのイヤホンやヘッドホンを聴いたことがありますが、ダイナミックドライバーにはない良さがありました。そのため平面磁界型ドライバーを搭載することで様々なゲームジャンルに対応できるヘッドホン、イヤホンになるのではないかと期待をしているのです。
ただ期待ばかりではなく、平面磁界型ドライバーにはデメリットも存在しています。それは重さと扱いの難しさです。まず重さは装着感に影響を及ぼす部分になります。一般的に平面磁界型ドライバーを採用したヘッドホンは重いものが多いです。そのためPULSE 3DやINZONEシリーズは装着感があまりよくなかったので、今回のワイヤレスヘッドホンのPULSE Eliteに対してはその点がさらに心配になりました。次に扱いの難しさです。今回の新製品はワイヤレス製品でユーザー自身がアンプを用意する必要がないので、ユーザー側に影響する可能性は少ないですが、一般的に平面磁界型ドライバーは音量が取りづらく、大きな駆動力を必要とします。そのためワイヤレスのヘッドホン、イヤホンでどこまでその性能を引き出して、さらにゲームに最適化してくれるのかは、期待しつつも心配な点であります。
以上、SIE(ソニー)がAudeze買収に関するまとめでした。
EARL(ライフスタイルDX)
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