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FIIO K19が2024年3月27日に中国で発売開始となりました。同時に新製品発表会も開催され、この記事ではその内容を日本語に意訳してまとめていきます。なお、日本でも5月31日に発売開始となります。

FIIO K19 発売日・価格
発売日:2024年5月31日(中国3月27日) 価格:247,500円前後(中国8999元)
販売ページ:Amazon / eイヤホン / Aliexpress
発売日時点ではかなり少量のロット生産のようで、R9同様、Aliexpressなどグローバルでの販売等は若干遅れると予想しています。価格では当初の1万元という計画からは若干価格が抑えられ、R9やM27よりも2−3万円ほど安くなりました。日本発売価格はR9が27万円前後でしたので、価格差通りのK19は25万円前後と予想しています。(追記)事前予想の通り、約25万円となりました。為替が円安に傾いていましたが、そこまで値上げにはならずに済みました。
FIIO K19とK9PRO比較
K19とK9PROの簡単なスペック比較を作成しました。アンプ回路は同じ788+ですが、R9同様、新設計のものと考えられます。
主な違い
- DACチップが最新のES9039SPROに変更
 - 最大出力が8000mWに増加
 - サイズ、重量ともに減少(特に高さが半分となり、重量は30%超減少)
 - ディスプレが追加
 - DSPアーキテクチャ、DSPチップの搭載
 - BTチップが最新のQCC5125に変更(ただしバージョンは5.1)
 - USBチップが上位のXMOS XUF316に変更
 - HDMI ARCなどデジタルアウトプットの追加
 - TIGGER、GND/LIFT切替、DC電源用ジャックの追加
 - アナログ入力機能はなし
 - 専用リモコンが付属し、リモコン操作が可能
 
比較表
| モデル | K19 | K9PRO ESS | 
| 価格 | 247,500円前後(中国8999元) | 15万円前後 | 
| カラー | 黒/銀 | 黒 | 
| DAC | ES9039SPRO*2 | ES9038PRO*2 | 
| アンプ回路 | THX AAA 788+ | THX AAA 788+ | 
| 最大出力@32Ω | 8000mW | 2100mW | 
| ゲイン | 5段階 | 3段階 | 
| ディスプレイ | 1.3インチディスプレイ | なし | 
| サイズ | 250*225*36.7mm | 200*224.5*72mm | 
| 重量 | 1800g | 2700g | 
| BTチップ | QCC5125(5.1) | QCC5124 | 
| USBチップ | XMOS XUF316 | XMOS XUF208 | 
| DSP | ADI SHARC | NA | 
| DSPチップ | ADSP-21565 | NA | 
| 入力 | USB/HDMI/Optical/Coaxial/Bluetooth | USB/Optical/Coaxial/Bluetooth RCA/4.4mmバランス  | 
| 出力 | PO:6.35/4.4/XLR4ピン LO:RCA/XLRバランス デジタル:HDMI/Optical/Coaxial  | PO:6.35/4.4/XLR4ピン LO:RCA/XLRバランス  | 
| その他端子など | 12V TRIGGER GND/LIFT切替 USBタイプC型RS232入力 DC電源用ジャック  | NA | 
| リモコン操作 | 可 | 不可 | 
FIIO K19スペック情報
プロフェッショナルレベルの31段階ロスレスPEQ

FIIO K19は、DEL(Dual Engine Limiter)技術を採用し、独自のアルゴリズムにより動的な圧縮・オーバーサンプリング、リミッター、コンプレッサー調整機能を実現し、プロフェッショナルレベルの31段階ロスレスPEQを搭載。PCM 44.1k~をサポートしています。 SRCでサンプリングレート変換を行わずにオリジナルのまま192kまでのEQを行うことができ、+12~-24dBのゲインや0.4dB~128dBのQ値などのオーディオパラメーターを細かく調整することができます。これにより周波数応答の曲線を修正するだけでなく、EQ設定のエクスポート、インポート、共有、保存もサポートしており、通常のPEQ よりもプロフェッショナルユースに近い利用が可能です。このような強力な機能は、強力なハードウェアサポートの恩恵も受けています。 FIIO K19は、ADI SHARC+プロセッサとADSP-21565チップを初めて採用し、水晶発振器、64 ビット演算、800MHz DSPの高クロック周波数をプロレベルでカスタマイズすることで、K19は31段階ロスレスPEQをサポートします。 このロスレスPEQ機能により、調整後もデータの忠実度や復元性の高さを維持するだけでなく、ヘッドホンやオーディオ機器を可能な限り保護する強力なシステム保護機能も備えています。
新フラグシップ構成でパフォーマンスが飛躍
FIIO K19ではFIIOで初めてESSの新しいフラッグシップ8チャンネルDACチップES9039SPROをデュアルで搭載。このDACチップは第4世代32ビットHyperStreamアーキテクチャに基づいており、高いダイナミックレンジと低ノイズが特徴で、より没入感が増します。FIIO K19は高電圧電源と並列駆動を備えた新しい8チャンネルのTHX AAA 788+ アンプアーキテクチャを採用し、2×2グループで並列接続され、4チャンネルのフルバランス増幅を形成します。最大出力はチャンネルあたり 8000mW+8000mW@32Ωと高く、さまざまなタイプのヘッドホンを簡単に駆動できます。
豊富な体験と多用途な機能

FIIO K19はアルミニウム合金製の筐体で、縦置き用のK19専用ブラケットを用意しました。これにより縦置き使用でも安定性、耐衝撃性に優れており、スペースを節約しながら便利で使いやすく、さらに放熱性も高めることができます。またこの縦置き用ブラケットは使用ニーズに合わせて角度を調整することができます。またFIIO K19にはカスタマイズされた赤外線リモコンが標準装備され、動作モードの切り替えやEQの選択、音量の調整を簡単に行うことができます。さらに1.3インチのフルカラーディスプレイによりステータスを簡単に把握でき、さまざまな機能の設定やデバイスの制御が便利になります。
その他、FIIO K19はFIIO初の双方向の12V TRIGGER機能を搭載した製品でもあり、アクティブ(TRIG OUT)/パッシブ(TRIG IN)の制御方式をサポートし、他の12V TRIGGERデバイスとリンクしてオン/オフすることができます。ACCUSILICON製の2つの高性能超水晶発振器採用、HDMI/ARC デコードやグローバルクロック管理、フルバランスオーディオ アーキテクチャ、物理的な分離基板とシールド設計、優れた電源、さまざまなデバイスサポートなどFIIO K19は新たなフラグシップ構成とプロレベルの様々な機能が搭載されています。
FIIO K19 レビュー情報
FIIO K19は、FIIOのデスクトップオーディオシリーズにおける最上位モデルとして登場しました。K9 Pro ESSの後継機として、拡張性、調整機能、そしてカスタマイズ性を飛躍的に向上させたデバイスです。K19のレビューを 5つのポイント にまとめつつ、特にサウンド面を詳しく解説します。
1. 圧倒的な拡張性と接続オプション
K19は、これまでのFIIOのDAC & ヘッドホンアンプと比べても、驚異的な拡張性を誇ります。特に、バランス・シングルエンドの両出力対応&HDMI ARC機能の搭載により、スピーカーやヘッドホン、さらにはTVやオーディオシステムともシームレスに接続できるのが大きなポイントです。
豊富な入出力端子
- HDMI IN/OUT(ARC対応):AVシステムと連携可能
 - USB-C(2系統)(RS232 & USB IN)
 - RCA Line-OUT(2系統)
 - XLRバランス出力
 - 光デジタル、同軸デジタル入力/出力
 - 12V TRIGGER端子(他機器との電源連携)
 - AC/DC電源対応(リニア電源を使用可能)
 
2. K19のサウンドレビュー:デフォルト音質と調整可能性
K19のサウンドは、デフォルトでは非常にニュートラルで味付けの少ないチューニングとなっています。そのためより楽しく聴くというリスニングを重視する場合、この機種の真価は「調整次第で驚異的な音質変化を遂げる」ことにあります。デフォルトの状態では、K9 Pro ESSと比較すると音の粒立ちや解像感が向上しており、自然で聞き疲れしないチューニングになっています。しかし、一部のユーザーにとっては「味付けがない」と感じる可能性もあります。
デフォルトのサウンド特性
- 非常にニュートラルで味付けがない
 - 中音域のエネルギー感が強く、ボーカルが明瞭
 - 低音は適度な量感があり、タイトな鳴り方
 - 高音は抑えめだが、滑らかで伸びやか
 - 音場は縦方向の広がりが優秀だが、横の広がりはやや控えめ
 
3. PEQ(パラメトリックイコライザー)によるサウンドの進化
K19の最大の特徴である 31バンドPEQ により、サウンドをユーザーの好みに応じて大幅にカスタマイズできます。特に、PEQを適切に設定することで、デフォルトでは控えめだった低音や高音を大きく改善できるのが魅力です。K19はデフォルトのままでも優秀ですが、PEQを活用することで 個々の好みに最適化されたサウンドへと進化します。
- ハードウェアレベルの調整で、システムSRCの影響を受けない
 - ±12dBのゲイン調整&0.4dB~128dBのQ値設定が可能
 - ADI SHARC+ ADSP-21565 DSPプロセッサー搭載で、高精度な補正が可能
 - PC・Macアプリで細かく設定できる
 
PEQ調整による音質の変化(例)
- 低音の増強 → 20〜50Hzのブースト
 - 高音の伸びを調整 → 8kHz以上の強化 or 5kHz周辺の軽いカット
 - ボーカルを前に出す → 1kHz〜3kHzの微調整
 
4. 驚異的な駆動力とヘッドホン適性
K19は、8基のTHX AAA 788+アンプ回路を搭載し、最大出力8000mW(32Ω)を誇ります。
- 高インピーダンス・低感度ヘッドホンでも余裕でドライブ
 - プレーナー型ヘッドホン(FIIO FT5, HIFIMAN SUSVARA)も問題なく駆動
 - 低インピーダンスイヤホン使用時もホワイトノイズがほぼ発生しない
 
そのほか、Meze 109 Proとの組み合わせでは、ボーカルの透明感が向上し、低音の量感・沈み込みも大幅に改善されました。また、LO(ラインアウト)出力を活用すれば、外部真空管アンプ(Cayin HA300MKII)との組み合わせで、よりウォームで豊かなサウンドが楽しめるのもポイントです。
5. 「未来型HiFi」としてのK19の立ち位置
K19は、従来のDAC & ヘッドホンアンプとは異なり、「ユーザーが音を作り込む」ことを前提としたHiFi機器です。FIIOのデジタルオーディオ戦略としても、「単なるDAC & ヘッドホンアンプ」ではなく、「ユーザーが自由にカスタマイズできるHiFi機器」としての方向性が強く感じられます。
- DACチップ:デュアルES9039S PRO
 - アンプ回路:THX AAA 788+(8基搭載)
 - Bluetoothチップ:QCC5125(SBC/AAC/LDAC対応)
 - USB-DACモードではMacのSRCをバイパス可能
 - 外部リニア電源(FIIO PL50推奨)でさらなる音質向上
 
K19はどんなユーザーに最適か?
推奨するユーザー
- DAC & ヘッドホンアンプにハイレベルな音質調整機能を求める人
 - プレーナー型ヘッドホンを所有し、高品質なドライブ能力を求める人
 - PEQを活用して自分だけの理想のサウンドを作り込みたい人
 - デスクトップオーディオを構築し、長期的に活用したい人
 
向いていないユーザー
- ニュートラルではなく、メーカーの味付けを求める人
 - 価格よりもシンプルな操作性や直感的なUIを重視する人
 
まとめ:K19はHiFiオーディオの新たな可能性を拓く一台
K19は、単なる「DAC & ヘッドホンアンプ」ではなく、ユーザーが自由に音を作り込むことができる究極のHiFi機器です。
- 拡張性抜群のインターフェースと接続性
 - 超高駆動力でプレーナー型ヘッドホンも余裕でドライブ
 - 31バンドPEQによる圧倒的なカスタマイズ性
 - 省スペースで美しいデザイン、デスクトップオーディオに最適
 
「K19の音の限界は、自分次第でいくらでも引き上げられる」——それが、この機種の最大の魅力です。
FIIO K19が気になった方には以下のリンクから購入可能です。
価格:247,500円前後(中国8999元)
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