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FIIO FD11 実機レビュー 〜新デザインの1DD〜

Fiio Fd11 V2新デザイン採用の ダイナミックドライバー型イヤホン

FiiO FD11が5月15日に中国で発売開始となりました。発売日に注文し、無事入手できましたので実機レビューとなります。またこの記事ではFiiOから発表されているFD11の特徴についても併せてまとめています。(追記)日本でも7月14日発売です。

はじめにFiiO FD11の概要と特徴を簡単にご紹介します。FD11はFD1の後継機で、エントリーモデルのダイナミックドライバー型イヤホンとなります。このダイナミックドライバーは、FH15やFF5という上位機種と同じカーボン素材のダイナミックドライバーが採用されています。そして最大の特徴は”Small Conch”という新デザインになります。日本語でそのまま直訳すると「小さな巻き貝」となります。そして金属製のシェルに六芒星のデザインをあしらったとても綺麗なイヤホンとなっています。

レビュー総括(Summary)

それではFiiO FD11の総括です。

*イヤーピースを付属ではなくHS18で聴いています。付属のイヤーピースの場合、少し音が前に出て聞き取りやすくなる一方で少し音場が狭くなり、余韻が減ります。

まずヘッドホン祭りでの試聴の印象とは全く違いました。それは特にサウンドのバランスと音場の広さです。また開封直後では音場の広さはそこまで感じませんでしたが、50時間過ぎあたりから、全体的に一歩下がるような感じで音が落ち着き、100時間超えたあたりからその音場の広さが特徴的になってきました。FiiO FD11のサウンドバランスはややV字型で、6,600円(199元/35ドル)という低価格とは思えない音場の広さと低域の質の良さがあります。低域がボワつかず弾力があり、中高域〜高域が明るいことで輪郭がありつつも、音の横への広がりが心地いい空気感を作り上げています。またFiiOの金属シェルのイヤホンの中では装着感が改善されていて、とても良くなっています。

Pros

  • 装着時の位置決めが容易
  • 弾力と輪郭のある低音
  • 輪郭があり、明るくも刺さりにくい高音
  • 広い音場
  • 歪みが少ない音圧耐性

Cons

  • 男性ボーカルはやや低音に埋もれる
  • 独自の凹凸型2pin*

*必ずしも埋込型2pinのケーブルが使えないわけではない

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概要(Overview)

発売日:2023年7月14日(中国5月15日)  価格:6,600円(海外199元/35ドル)

販売ページ:Amazon / eイヤホン

FiiO FD11はダイナミックドライバー型のイヤホンです。FiiOのイヤホンのなかではエントリークラスの位置付けで、FD1の後継機となります。FD1からの大きな変更点として、金属製のシェルになったことです。またデザインIDとして、FiiO FD11は新たに「Small Conch」というデザインを採用しています。このデザインは今後発売予定のFH11にも採用されています。これまでの円形型のFD3やFD5よりも耳にフィットしやすい設計となっています。実際にFiiOから「”装着感”の向上だけでなく、”装着精度”の向上も企図したデザインで、これにより誤った装着時の音質の劣化も防止する」ことも目的となっていると聞きました。まさにエントリーモデルとして考えられたイヤホンとなりそうです。

特徴①デザインを一体化したC型の音導管

FiiO FD11は”音と形の一体化”を目指して、「Small Conch」というデザインコンセプトと 合わせて、C型の低域拡張の音導管が誕生日しました。 低域の魅力と空気のうねり、ドラムサウンドの一体感を感じてください

FiiO公式

特徴②カーボンベースのダイナミックドライバー

FiiO FD11には、FF5やFH15に採用されているカーボンベースのダイナミックドライバーが搭載されています。そのため、エントリーイヤホンでありながらも、同じレベルで音質のボトルネックを解消し、より高い音質を目指しています。

FiiO公式

同梱物(Package)

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FiiO FD11の同梱物はシンプルです。音質面に多くのコストをかけるために付属品を最低限にしたそうです。
・FD11本体
・ケーブル
・イヤーピース(3サイズ)
・説明書

ケーブルについて

FiiO FD11は独自規格の0.78 / 2pinが採用されています。まず下の画像をご覧ください。

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FiiO FD11 イヤホン本体側
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FiiO FD11 ケーブル側

FiiO FD11のイヤホン本体側には円形の溝ができています。それに合わせてケーブル側には円形の山があります。そのため溝に対して円形の山を埋め込む形となるので、接続部は埋め込み型2pinのような形式なっています。通常、埋め込み型の2pinは、イヤホン本体側は長方形の溝で、ケーブル側は長方形の山になっています。

この接続部のカテゴリーとしてはフラット2pinの改良型となります。そしてこのような独自2pin仕様となった理由として、通常のフラット2pinは挿入時に曲がりやすく故障率が高いからとのことでした。一方でフラット2pinは生産コストが安く、より音にコストをかけることができるというメリットがあります。そこでFiiOは独自の2pinを採用することで、耐久面とコスト面の双方のメリットをとった形となります。今後このFiiO独自の2pinはFH11にも採用されます。そのためFiiOからは夏以降にMMCX変換アダプターや4.4mmケーブルが販売される予定となっています。

ご参考までに旧型の機種であるFD1の画像も載せておきます。こちらは通常のフラット2pinです。イヤホンとケーブルを繋ぐ部分の形状が異なることがわかります。

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外観・装着感レビュー

FiiO FD11は今までのFiiOのイヤホンとは全く異なるデザインIDとなっています。まず形は「Small Conch」という名前の通り、小さい巻き貝のような形です。フェイスプレートは透明度が高いビー玉のガラスのような面に六芒星のデザインがあしらわれています。今までのSFアーマーデザインとは異なり、綺麗なデザインとなっています。次に装着面です。イヤホンの内側(耳に当たる側)の形状もこれまでと異なります。下の画像はFD3とFD11を横に並べたものです。従来の金属シェルで円柱(円筒)型のFD3に対して、FiiO FD11は外側から内側にかけてくびれができています。これにより装着感と遮音性が向上しています。またステムも外耳道に入りやすくなっている感覚があります。

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サウンドレビュー

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開封直後のレビュー

*開封後3時間程度のレビュー。楽曲は国内を中心 / DAP:M15S / イヤーピースはFiiO HS18

FiiO FD11はこの価格帯において素晴らしい低音の質感を持っています。それはボワつくことなく、低音の輪郭がしっかりしている点です。また高音もざらざらすることはなく、刺さらないです。この2つの利点が、FiiO FD11のサウンド全体の解像感をあげていて、ある程度音数の多い曲やロックでもノリよく聴くことができ、この価格帯のキラーとなるクオリティをもつイヤホンです。ただし決して個性があるイヤホンではありません。あくまでも丁寧に低音と高音を奏でてくれます。しかし、長時間、長期間にわたって聴く上ではこの優等生さが魅力になります。バランスとしてはV字型になりますが、中低音よりのバランスにも聞こえます。暖色系のサウンドで低音の響き方はとても心地よいです。この低音の響きはFiiOのイヤホンで例えるならFD3やFF3あたりを想像してください。ただし男性ボーカルは曲によって低音に埋もれる場合があります。そのためどちらかといえば女性ボーカルが映えます。ダイナミックらしい艶ぽさもあります。個人的には結束バンドとの相性がとてもよかったです。低音の応答性はそこまで高くありませんが、輪郭のある低音によってドラムやベースの音をしっかりと感じられ、女性ボーカルの声やエレキギターの音はそこに埋もれることなく綺麗な響きで聴くことができます。ぜひFiiO FD11で聴いてみてください。なお、V字型ということで同じバランスをもつFH3やFH15と聴き比べてみましたが、バランスは同じながら印象はだいぶ異なりました。この辺りはやはりドライバー構成の違いによるものと感じました。FH3やFH15は、FD11よりも音の密度が高いです。FiiO FD11でV字型のバランスを気に入った方は、ぜひFH3、FH15も検討してみてください。さらに余談ですが、K9PROで聴くと音場が広がって聞こえました。そのため据え置きのDACをお持ちの方はDAPやポータブルDACだけではなく、据え置きでもぜひ聴いてみてください。

150時間エージング後レビュー

*150時間程度のエージング後のレビュー。楽曲は国内を中心 / DAP:M15S / イヤーピース:主にFiiO HS18、比較で付属、final Type E(for TWS)

まずFiiO FD11エージングによる最も大きな音の変化は音場が広くなったことです。はじめの総括に記載したとおり、サウンド全体が一歩引くような音の落ち着きが出てきて、それにより音場の広さが特徴的になりました。音は明るいため、爽やかなステージが広がります。音の輪郭ははっきりしていますので、引き続き、音数の多い曲やバンドの曲でも分離感よく聴くことができます。それでいて高音は刺さりにくいです。高域が抜けていく感じはありませんが、音場が広く感じることで詰まりはあまり感じません。サウンドのバランスとしても変わらずV字型ながら曲によって暖かい低域〜中低域が印象的です。

FiiO FD11 イヤピ

この暖かい低域〜中低域があることで、FiiO FD11はイヤピースによってサウンドバランスが異なります。そこでFD11のレビューでは、付属のイヤーピース、FiiO HS18、final Type Eの3種類のイヤーピースで聴き比べてみました。HS18は傘の部分が非常に薄く、耳への密着感が少なく、すっきりニュートラルなサウンド(人によっては低音が少ないと感じる)のイヤピです。これに対して付属イヤーピースはサラサラとした手触りのイヤーピースで、傘の厚みも標準的です。HS19のイヤーピースで「ボーカル」と書かれているようなものと似ています。最後にfinal Type Eは耳にベタっと密着し、密閉度が高いです。そのため低音をしっかり感じるイヤーピースになっています。この3つで私がおすすめしたいのはHS18です。前述のレビューもHS18を装着して聴いたもので、低音をすっきりとさせる点で相性がいいと感じました。ただし、人によっては低音が足りないと感じる人もいそうで、この場合は付属のイヤピースをおすすめします。少し音場は狭くなり、音も近づきますが、適度に低域を感じることができます。一方でFinal Type Eの場合は、低音が好きな方以外にはおすすめしません。低音がかなり前に出てきて、中高域〜高域よりも低音の印象が結構、強くなります。

ペアリング

with M11S

FiiO FD11との組み合わせでは、少し中高域〜高域に掠れたような歯の音を感じる場合があります。一方でこのタイトな変化では、特に暖かい低域〜中低域が少し引き締まります。これにより、ROCKはよりノリ良く聞くことができます。

with BTR7

FiiO FD11といくつかFiiOのDACと組み合わせた中で相性が良かったです。BTR7(BTモード)で聞くと少し解像度が落ちます。これが悪い方に作用するというよりも、音の横の広がりを(曖昧な部分を多く)感じることができます。この程よい解像度の中で、音が広がっていくことで、前述サウンドレビューで感じた爽やかなステージや暖かい低域〜中低域の柔らかさ感じ、外で散歩しながら聴くと心地よいです。

以上、FiiO FD11のご紹介とレビューでした。

FiiO FD11はアラウンド1万円という価格では音質、シェルのクオリティのどちらにおいてもトップレベルに入るイヤホンです。もちろん低価格帯になるとある種、尖ったサウンドをもつイヤホンもあり、それに対して個性が不足しているかもしれませんが、 FiiO FD11はFiiOらしい優等生なイヤホンです。そのため最初のダイナミックドライバー型として1本目のイヤホンとしてぜひお勧めしたいです。そしてこの後発売するFH11と合わせて、ダイナミック型、ハイブリッド型をそれぞれエントリーとしてふさわしい2機種となると思います。

販売ページ:Amazon / eイヤホン

▼FIIO FH11のレビュー記事へのリンク
FIIO FH11 実機レビュー 〜メリハリの利いたサウンドのハイブリッドイヤホン

FiiO FD11 周波数特性(Frequency Responce)

最後に参考までに周波数特性を掲載します。この測定結果は厳密なものではなく、比較を目的としています。そのため他のFiiOイヤホンと比較できるようSPLは20hzで100dBに合わせています。

他のFiiOイヤホンの周波数特性ページ:https://earl4proxyvoting.com/fiio-database

FiiO-FD11

FD1との比較

FiiO FD11とFD1との比較ではサウンドのバランスの違いもありますが、全体的な質感が向上していることが大きな違いとなっています。特にFD11の方が高音の質感が良いです。低価格特有のざらざら感がFD11にはなく、刺さりにくいです。また低音の質感ではFD11の方が引き締まって聴こえます。音場においてはFD11の方が少し遠く、距離感があるため広く感じます。高音の質感においては明確にFD11が優れていると思いますが、低音や音場については好みである要素ですので、実際に聴き比べてみても良いと思います。

FD1 周波数特性
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EARL

EARLFIIOファン

FIIO製品を中心としたオーディオ情報を発信しています。FIIO製品は専門的に最新情報を最速でお届けすることを目指しています。当ブログではFIIOのイヤホンの全ておよび2022年以降の新製品の多くを購入し、レビューを行なっております。

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