*低音や解像度などイントラコンカ型イヤホンとしての評価でレビューしています。最近のイントラコンカ型を聞いことがない方は留意ください。
レビュー総括(Summary)
まず着け心地の良さがありました。実際に測ってみたところ、片側当たり約3.0g(ケーブルなし公式は2.6g)、シェル直径が16mmと一般的なイントラコンカ型よりも小さく軽いです。ただし、ベルのような形で耳につける際、掴む柄がないため、装着がしにくく、また左右の判別が特殊な記号のみでわかりにくいです。さらに柄がないがゆえに耳にはまりやすい一方で、耳道に対してドライバーが平行になりにくいです。
次にサウンド面で、サウンドバランスではMid寄り、いわゆるかまぼこ型です。サウンドにクセがなく、Mid寄りの中でも高低どちらかに特化しているという印象はなく、男性ボーカル、女性ボーカルのどちらもこなせるサウンドバランスです。サウンドの印象はやや暗めで高音が刺さりにくいです。悪く言えば若干高音の見通しがやや悪く、こもって聴こえますが、その代わりに高音がシャリシャリと聴こえてしまう悪さをしていません。低音は悪くないです。低音を特徴とする曲では不足感はありますが、POPSを聞く分には十分な低音があります。やや暗めなので明るいPOPS曲との相性が良いです。なお、全体としてはクセのないサウンドなので、上流を変えることで低音や高音の見通しを補うことも可能で、好みや曲によって使い分けることのできる汎用性もありました。
Pros
- 着け心地が良い
- 男性・女性ボーカルどちらもこなせる
- 高音が刺さりにくい
- POPSなどには十分な低音
Cons
- 装着しにくい
- 左右の判別がわかりにくい
- やや音がこもる、高音の見通しがもう少し
Temperament X10の概要
価格・販売
価格:25.99ドル(約4,000円)*前売りのセール価格は15.99ドル
販売:Angelears audio Aliexpress Store
製品概要
ベルをイメージした外観デザイン
正式な名称は、「リトルブラックベル X10」というようです。この名前の通り、イヤホンのデザインはベルの形をイメージして作られているそうです。イントラコンカ型イヤホンとしての外観と快適性の両方を高めるよう設計されています。
15mmのチタンダイアフラム
リトルブラックベルは第一世代のブラックベルト同じダイアフラムを備えています。リトルブラックベルには第一世代と同じプレミアム素材で作られたチタンダイアフラムが採用されています。ディテールとダイナミクスを強化し、優れたオーディオ体験を提供します。
手作業による表面処理
シェルのハウジングにはアルミニウム-マグネシウム合金製で、最終的な表面処理は手作業によるブラッシングと研磨が行われ、より薄くて軽量なシェルとなっています。そしてイヤホンの片側あたりのユニットの重さはわずか2.6gで、長時間の使用にも適しています。
銀メッキケーブル
3層のリッツ構造の分厚い銀メッキのケーブルで、開発には3年を要しました。また特許を取得したモジュラー型のケーブルは音質、機能性、スケーラビリティを向上させています。
同梱物
X10の同梱物はイントラコンカ型イヤホンの中で充実しています。
- イヤホン本体
- 独自のモジュラー式ケーブル
- 2種類/2色のスポンジカバー
- ケーブルガイド
- イヤホンポーチ
ケーブルについて
少し変わったケーブルなので写真で説明します。まずは写真をご覧ください。
通常、スプリッターがある位置にリケーブルのコネクターが埋め込まれていて、ここがモジュラーとなっています。そのためリケーブル自体はできるものの独自のシステムとなっています。そしてコネクターの形状はFIIOの交換式プラグと似たような4pinのコネクターとなっています。コネクターに引っかかるような爪等はないので、そのまま引っ張ると取り外しができます。少し心配な点として、このシステムで、もしイヤホン側のケーブルが断線したら、その部分だけ購入できるのかが気になりました。この後のレビューでも記載しますが、ベル型の形によって、イヤホンからケーブルが出てくる根元への負担が高そうなので、余計に気になったところです。
外観、装着感レビュー
外観レビュー
外観は最初、ベルの形と気づきませんでしたが、製品の概要を読んで改めて見ると、確かにベルにそっくりの形をしてます。またシェルは綺麗にポリッシングされていて、手触りが良いです。特に好みが分かれるようなデザインでもなく、色も黒のみですので、デザインに関しては可もなく、不可もなくという印象です。
装着感レビュー
軽くて小さいシェルは非常に装着感が良いです。特にシェルの直径サイズが16mmと小さいので、耳への負担も小さく、長時間の装着が可能です。一方で、シェルに手で持つ柄がないので装着がしにくく、またイヤホンをつけた時にシェルが徐々に上を向いてしまい、耳道に対して平行になりにくいです。この点はベルを意識したデザインで仕方ないのかもしれませんが、もったいなく感じてしまいました。また左右の判別もわかりづらい点も同様に勿体無いです。次の写真は右側のシェルを撮影したものですが、この謎の記号で左右を判別することになります。また柄の部分がないため、根元付近への負荷が強いようにも感じ、断線しないか心配になりました。
サウンドレビュー
かまぼこ型のサウンドバランス
サウンドバランスはMid寄りで、いわゆるかまぼこ型です。Midの中でも高低のどちらかに特に寄っているという印象はなく、男性ボーカル、女性ボーカルのどちらもこなせるイヤホンです。ボーカルはクリアで、POPSとの相性が良いサウンドです。音のレンジはあまり広くないです。イントラコンカでありながらも、そこまで抜け感はないので、音場は一般的なカナル型より広いものの、頭から少しはみ出るかなぐらいの音場感です。イヤホン自体がMid寄りなので上流によって、低音の量や強さが変わります。私の手持ちだとM11Sではさっぱり目ですが、M15Sだと潤いや弾性がプラスされて、このイヤホンと相性の良い低音の変化でした。
やや暗めで、高音は刺さりにくい
ボーカルはクリアである一方で、全体としてはやや暗めのサウンドです。これは悪く言えばこもって聞こえたからです。過度に高い解像度はなく、高音が刺さったり、シャリシャリしたりすることがありません。先ほどのM11SとM15Sの相性の違いから、個人的には高音が明るくない分、低音がしっかりしていた方がバランスがよく、中低音寄りの上流と合わせると相性が良さそうです。仮に中高音寄りの上流の場合は、明るめの曲を聴くときには相性が良い印象です。というのもイヤホン自体の解像度はあまり高くなく、高音の見通しはあまりよくありません。そのため中高音、高音の見通し良いDACなどを合わせることでボーカルだけでなく、楽器の音もよりクリアに楽しむことができます。これらはX10にクセがないことで、上流を好みや曲で使い分けて、様々な曲と合わせることができるのもメリットですね。個人的には中高音、高音を明るめに楽しみたいときはK9PRO、中低音寄りで暖かいサウンドを楽しみたいときはM15Sという組み合わせでした。
以上、Temperament X10のレビューでした。
販売:Angelears audio Aliexpress Store
EARL(ライフスタイルDX)
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