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FiiOから1月12日にR7、SP3、FT3が動画で発表され、13日にK9の情報も出ていることが確認できましたのでその内容を日本語でまとめていきます。R7については日本でも2023年2月3日に発売開始です。
まずR7、SP3、FT3、K9について簡単にご紹介します。FiiO R7はオールインワンプレイヤーとなっており、Androidを搭載した据え置きプレイヤーとなります。FiiO SP3はデスクトップスピーカーです。FiiO FT3は開放型のヘッドホンとなります。FiiOはデスクトップオーディオに力を入れており、いずれもFiiOとしては初めての製品となります。なおFiiOとしてはどれも初めての製品となりますが、スピーカーは他社のOEMで、ヘッドホンとしてはFiiO EH3 NCというノイズキャンリングヘッドホンを過去に出しています。最後にFiiO K9はすでに発売されているK9Pro ESS/LTDの下位グレードの位置付けとなる製品です。よりリーズナブルな価格のFiiOのフラグシップのデスクトップDAC/アンプとなります。
それではFiiO発表会の内容をまとめていきます。今回の発表会は動画のみで、比較的コンセプトに重点を置いた説明となっていました。そのためそのコンセプトについて最初にまとめていきます。今回発表する3つの製品で構成するオーディオシステムをFiiOは1.0としています。そのため今後もこのようなデザインも含めて統一感のあるデスクトップオーディオの製品の開発が続きそうです。
初めに:FIIOについて
FIIOを初めて耳にする方向けに公式の会社概要を以下の通り、意訳して抜粋します。すでにご存知の方は読み飛ばしてください。なお、社名の表記が「FiiO」から「FIIO」に変更されました。
FIIOは2007年に中国で設立されたオーディオメーカーです。デジタルオーディオプレイヤー(DAP)、イヤホン、多種多様なポータブルオーディオ製品を自社で研究開発、生産し、グローバルに販売をしています。ブランド名である「FIIO」は、Fi (Fidelity) と iO (1 and 0)に由来し、デジタルが生活に与えるよりリアルな体験とより便利な生活を意味しています。また中国語では「飞傲」と表記し、これは「FIIO」の音訳であり、春のような活気と青空に飛び立つ積極的な進歩と常に革新を続ける企業精神を象徴しています。FIIOはユーザーの声を非常に重視し、製品設計を絶えず改善し、消費者により多くの良質で高付加価値の製品を提供するための努力をしています。
FIIOのビジョン:中国製の評価を高める
https://www.fiio.com/About_FiiO
FIIOのブランド精神:オーディオは無限である
FIIOのビジネスは「オーディオ」に関する製品やサービスを提供することで、無限の楽しみのある「オーディオエコシステム」を構築することです。FIIOは高品質なオーディオデバイスを販売するだけでなく、FIIOが提供する製品やサービスを通じて、ユーザーに喜びを感じてもらうように努力をしています。
海外メーカーというとサポート面を不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。中国FIIOへ直接問い合わせをしたこともあり、対応はとても良いです。日本メーカーのようにその場でサポートということは難しいかもしれませんが、真摯に対応してくれるメーカーですので安心してご検討ください。さらにFIIOはWeiboという中国SNS上で担当者が日々、ユーザーと意見交換をしています。また製品開発過程においてアンケートも実施していて、ユーザーに寄り添った製品開発を行なっています。
FiiO R7、SP3、FT3の概要・コンセプト
FiiOは現在、若い人の間で流行しているデスクを統一したスタイルで美しくする文化に着目し、今回この3つの製品をリリースしています。その背景には、オーディオ機器では見た目や色、音をマッチングさせたブランドがないと考えたからです。そこで今回のこの3つの製品は視覚的に統一されたデザインとなっていることから、それぞれ異なるブランドから統一感を出すために製品を選ぶという手間を省くことができるようになります。そして、現在では専用のオーディオルームや大きなデスクを設置できるような広い書斎を持つことは少なく、ほとんどの人は限られたスペースのデスクを持っています。それは例えば140cm × 70cmの標準的なデスクです。この標準的なデスクに対して特別な設計をしています。FiiO R7はコーラの缶2本分の大きさで非常にスペース効率が良いです。またFiiO SP3も、FT3も小型でデザインがR7と非常に相性が良いです。FiiO R7とSP3と組み合わせるとデスクトップHiFiソリューションとして優れた性能を発揮します。SP3は小型スピーカーでは最も大きな3.5インチのBass/Midレンジのスピーカーを搭載していて、この3.5インチを搭載する小型スピーカーは比較的珍しいです。世界最小の3.5インチ2ウェイデスクトップスピーカーになるでしょう。スピーカーではこの大きさがより深い空間を構成しているため、デスクのスペースに余裕がないけどよりよい音質を求めている方は注目です。
これらの製品はほとんどの人のデスクにフィットし、非常に小さく、スペースを取らないという点が強みです。さらに多くのメーカーのオーディオシステムでは2つの異なるグループに分けられていることに目をつけました。それは例えばスピーカー専用のデコーダーやデバイス、ヘッドホン専用のデコード(イヤホンバンドル)があります。一方でユーザーがデスクで音を出すことを考慮したシステムはあまり見当たりません。デスクでリスニングする際に、家族に迷惑をかけないためにヘッドホンが必要になる場面があります。また書斎で一人になる立場でもスピーカーを使って聴きたい時があります。FiiOのK7とK9Proを購入したユーザーの中にはデスクに2台とも置いている方も少なくありません。この2つの切り替えはそれほど簡単でありませんし、場所もとります。対してFiiO R7+SP3+FT3であればどちらのリスニングニーズも満たすことができるシステムになります。そして2つのシナリオ(スピーカーとヘッドホン)の切り替えが容易になります。そしてデザインの統一性が高く、場所もとりません。そしてこのシステムはデザインだけでなく、よく働くこともできます。オーディオマニアのために拡張性ももたせています。NAS接続や外部リニア電源との接続、FiiO KB1のような小型キーボードなど、様々な遊び方があります。
FiiO R7 デスクトップオールインワンプレイヤー
日本での発売日も2月3日(1月27日より予約開始)となりました。価格も¥112,200と現地とほぼ変わらない価格でのリリースとなりました。
発売日:2月3日(中国現地1月12日) 価格:¥112,200(4999元(日本円約10万円))
FiiO R7は5.0インチの16:9のHDカラーディスプレイを搭載し、縦長の画面デザインとなっています。Android OS(ver10)により、サードパーティのアプリケーションを自由にインストールし、互換性の問題なく使用することができます。XLRバランス出力端子、4.4mmバランスヘッドホン出力端子、6.35mmシングルエンドヘッドホン出力端子など、豊富な入出力端子を搭載しています。4つの出力モードではPO+プリアウト、PO、プリアウト、LOをノブで選択でき、様々な利用シーンに容易に対応できます。フロントのアナログ出力レベルはボリュームノブが適用されます。リアに搭載する端子の一部でも調整可能です。これらの4種類の出力モードノブを搭載することで、様々なシナリオにプラグを抜かず自由に切り替えられるようになっています。ヘッドホンで聴きたいときはPOまたはプリアウト、スピーカーで聴きたいときはLO、ヘッドホンとスピーカーを同時に鳴らしたいときはPO+プリアウトというようにです。ボリュームノブは音量調整の他、ボタン付き多機能ノブなのでオン/オフ、Enter、スクリーンセーバーなどの切り替え機能を備えています。またボリュームノブで調整可能なハードウェアゲインを搭載しており、低抵抗のヘッドホンから高抵抗のヘッドホンでも簡単に対応することができます。
FiiO R7はボリュームノブ、出力切替ノブにRGBライトリングを搭載し、光の効果はオーディオの変化に追随するとともにカスタマイズすることも可能です。明るさを0%から100%まで調整したり、明るさを音量と連動させたり、温度表示に連動させたりするなどの設定が可能です。さらにFiiO R7では操作性を高めるためディスプレイ下には独立したタッチボタンを搭載しています。これはAndroidと同期できる3つのパーチャルキー機能に加えて、再生、一時停止、曲のスキップ/戻るにカスタマイズできます。将来的にはより多くのカスタマイズを追加していく予定です。またディテールの完成度を高めるためにFiiO R7にはフロントパネルのヘッドホン出力ポートのダストカバーが2つ付属しています。そのうち1つはスピーカーだけを聴くユーザーのために3つ全てのポートをカバーするものです。これは防塵だけでなくフロント全体の美観を高めることも可能です。もう一つはXLRのインターフェースを持つヘッドホンを持っていないユーザー向けにXLR端子だけをカバーするものです。
FiiO R7はスクエアフォルムで、サイドには冷却効果を高めるオープンホールのスチールメッシュデザインを採用し、技術的な美しさを兼ね備えています。これまでのデザインと異なり、フロントハーフのポートすべてが凹んでいるビルトインデザインになっています。FiiO R7にはWifi、Bluetoothアンテナを初めて搭載したモデルであることも特徴です。このルーターデザインは特別に設計しているので全体のデザイン性を大きく高めています。またサイズからマイクロSDカードには対応せず、これも初めてSDカードスロットを採用しています。海外のユーザーではカードリダーを使用しているユーザーがいたのでこのR7では大きいカードでも小さいカード(MicroSD)のどちらにも対応しています。
FiiO R7のリアにはアナログライン出力端子として、2組のRCA端子と1組のXLR端子を搭載しています。2組のRCA端子を同時に使用することで、一方はアクティブスピーカーに、もう一方には上位の出力装置やアンプに接続し、さらなる拡張性を持たせることも可能です。キャノン端子にはXLR入力を持つプロ用モニターやプロ用アンプに接続することができます。また、標準的な角型光デジタルの入出力、標準的なCoaxial入出力にも対応しており、さらなるプロフェッショナルな環境へと拡張することができます。そのほか、2つのUSBポートを搭載しています。一つはUSB3.0のタイプCポートで、もう一つのUSBタイプAポートです。タイプCポートでは映像出力などもサポートしています。もしこの2つのUSBポートでは物足りないと感じたときはUSBハブを使用することでより多くのUSBポートと機能に拡張することが可能です。またR7にはLANポートも搭載し、安定かつ高速にデータ転送を行うことができ、Wifiによるオーディオ信号への干渉などを避けることができます。R7にはAC電源コネクタに加えて、リニア電源を使用する一部のマニアックなユーザーのために専用の外部DC電源コネクタも備えています。AC電源とDC電源はトグルスイッチを切り替えるだけです。
FiiO R7の内部構造は電源基板、デジタル基板、アナログ基板からそれぞれ構成されるサンドイッチパーティション構造を採用し、3つの基板は物理的に分離して設計しているため、部品間の相互干渉を効果的に回避して信号の完全性を確保し、S/N比や分離感などの指標を効果的に改善できるとともに、アナログ部などの放熱にもより適しています。まずデジタル部ではSnapDragon660、メモリ4GB、ストレージ64GBで、Androidのオープンシステムを採用し、スマートホンのような操作性を持ち、自由にサードパーティのアプリケーションをインストールできます。またBluetoothとデュアルバンドWifi回路も内蔵しています。干渉を効果的に回避するためメインコントローラーモジュール全体を白銅シールドで設計しています。USBポートは独自設計の電源管理回路により、最大1.6Aまでの電流出力を想定しています。自社開発の第4世代FPGAを搭載し、オーディオシステム全体に高精度、低ジッタクロックを提供することができます。
FiiO R7のアナログ基板で、オーディオ部にはESS社のES9068ASのDACチップ(シングル)を採用しています。オペアンプにはTI社製を2基搭載しています。THX-AAA788+オーディオアーキテクチャーを採用し、FiiO K9ProやK7と同じアーキテクチャーです。最後に電源部においてもR7専用の30Wのスイッチング電源を搭載し、コンデンサなどのコンポーネントもこだわって設計されています。
FiiO R7には8つのモードがあります。一部をご紹介するとサードパーティのアプリケーションを自由に使える「Androidモード」、臨場感あふれるリスニング体験ができる「Pure soundモード」、iPhoneなどのiOSデバイスと接続し、Appleの良質な音質を無限に実現する「USB DACモード」、PCなどと接続する「USB DACモード」も搭載しています。BluetoothモードではSBC、AAC、LDAC、aptX、aptX HDに対応しています。光デジタル・同軸デコードモードでは、プロフェッショナルなデコードを使用することができます。
事前の調査ではデスクトップ型ストリーミングメディアプレイヤーの市場はまだ狭いことがわかりました。主な理由は多くのAPPとの非互換性、複雑な操作性、使用時の敷居の高さなどの問題です。FiiIOはユーザーを起点としたブランドですので、非常に簡単に始められるオープンなAndroidシステムを採用し、縦長の画面デザインで、新しいアプリケーション端末でも相性問題はなく、様々なサードパーティのアプリケーションを自由にインストールして使用することができます。またFiiO R7はデスクトップ型のオーディオシステムのハブにより適しています。ヘッドホン、スピーカー、NAS、ハードディスク、PC、スマートホン、タブレットに接続できます。さらにモニターやテレビも有線、無線で接続することができます。
FiiO R7 特徴一覧
FiiO SP3 デスクトップスピーカー
発売日:2023年6月23日(中国5月) 価格:49,500円(中国1999元)
FIIO SP3のレビュー:FIIO SP3 実機紹介&レビュー ~ 3.5インチウーファー搭載の2WAYスピーカー
大型のスピーカーは限られたデスクトップスペースをより混雑させ、音質と使い心地のジレンマに陥ります。このような背景からHiFiデスクトップ アクティブスピーカーであるFiiO SP3が誕生しました。FiiO SP3は新しいデスクトップスピーカーで、1インチのシングルドームツィーター、同サイズのスピーカーよりも大きい3.5インチのカーボンファイバーBass/Midレンジスピーカーユニットを採用しています。FiiO SP3のケース容量は2.35リットルで、デスクトップの占有スペースを減らし、シンプルで快適なデスクトップスピーカーという新しい体験をもたらすことができるのです。外観のデザインは拡散型の横縞模様が美しいだけでなく、一つひとつの間隔が緻密に計算されています。また大音量時の強い振動に耐える補強がついているのも特徴です。
FiiO SP3では継続的に必要な音量に調整できるようにボリュームノブを搭載しています。ボリューム調整用のノブの隣にあるのは低音調整用のノブです。利用シーンに応じて低音ブーストを適切に調整し、低音を響かせることが可能です。ノブの下には入力切替ボタンがあります。RCAまたは3.5mmの入力切替を行うことができます。電源オンオフで入力設定を引き継ぐことが可能です。入力切替ボタンのほか、RGBライトの調整ボタンも搭載されています。
FiiO SP3の特徴一覧
FiiO FT3 開放型ヘッドホン
発売日:2023年6月9日(中国:3月21) 価格:44,550円(中国:1999元/299ドル)
FIIO FT3のレビュー記事:FIIO FT3 実機レビュー 〜 FIIO初の有線ヘッドホン
FiiO FT3はクラシックな六角形、アルミ合金の本体、開放型、タフなメカニカルスタイルのデザインに仕上げました。FiiO FT3のメインフレームがアルミ製で全体の安定性を確保するためにU字型のブラケットとして設計されています。FiiO FT3のメッシュ部分はハニカム格子の鋼メッシュを採用し、完全なスケルトン設計でありながら十分な強度を持ち、重量も軽減しています。重さは391gです。根本から着用を軽くしています。取り外し可能で交換できるイヤーカップデザインを採用しています。FiiOとしてはこれが基本と考えています。牛革素材はヘッドホン全体を非常に雰囲気よく、耐久性のあるものにできます。またもう一つにはスエードを使用し、繊細な手触りを実現しました。
FiiOでは連続的なリスニングの快適さはパフォーマンスの一つであると考えています。そのためより優れた着用性能を達成するためにFiiO FT3の着用実験の末、3軸のステアリング設計でマルチ角度回転し、着用する人の頭に合わせて、また異なるサイズの頭囲に合わせることができます。これによりさらなる快適性を高めて、音漏れをなくしました。FT3は異なるイヤーカップのチューニングに2種類を標準的に付属します。一つはオールレザーで、クリアな音場と高い解像度を実現するためにチューニングされています。2つ目はスエードのイヤーカップはアンビエンスの壮大さを高めるためにバランスよくチューニングされています。工場出荷時はスエードが装着されています。
FiiO FT3は60mmの大型ダイナミックユニットを採用し、市場で一般的に見られる小型ユニットと異なり、大きな振動板はより多くの空気を押し出すことができ、エネルギー変換効率が高く、音のパフォーマンスはより自然で、堅実、深い、広い、壮大なものとなっています。FiiO FT3のケーブルはプラグ交換デザインを採用し、4つの交換可能なプラグを標準搭載します。3.5mm、4.4mmの交換プラグ、3.5 to 6.35、4.4 to XLRの変換アダプターが付属します。ケーブルの線材は高純度単結晶銅です。そのほか、革製の収納バッグが付属しています。
FiiO FT3 特徴一覧
FiiO K9 デスクトップDAC/アンプ
発売日:2023年2月3日(中国1月13日) 価格:79,750円前後(中国2999元)
FiiO K9はES9068ASをデュアルで搭載し、デスクトップ専用のTHX-AAA788+を採用しています。同じK9シリーズのFiiO K9Proのオーディオアーキテクチャーを踏襲し、同じくフルバランス駆動、DACデコードなど全て左右独立で処理され、クロストークを大幅に低減しています。
こちらについては比較表をご覧いただいた方がわかりやすいですのでこちらの画像をご覧ください。FiiO K9はPCM/DSDデコードの数値やPEQの機能はFiiO K9Proよりも優れています。一方で出力値などのはFiiO K9Proを下回っています。いインターフェース面を改善しつつ、よりリーズナブルな価格を実現するためにコスト削減を内部設計やコンポーネントで行なっているモデルとなります。
以上となります。
いかがでしたでしょうか。この発表会を見てFiiO R7の想像以上の拡張性に驚きました。またスピーカーやヘッドホンは伝統的な形を踏襲しつつも、どちらも標準的な製品よりも大きいサイズのスピーカー、ドライバーユニットを搭載し、またFiiOらしくユーザーの使いやすさが追求された製品となっています。現時点でFiiO R7は国内価格が現地価格よりも高くなりそうなので買えませんが、FiiO FT3あたりは並行輸入で購入を検討しています。
当ブログではR7、SP3、FT3のいずれも購入しました。
EARL(ライフスタイルDX)
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