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FIIO FX15実機レビュー!〜FIIO初静電ドライバー搭載のイヤホン

FIIO FX15アイキャッチ

FIIO FX15とは静電(EST)ドライバー搭載のイヤホンです。日本では8月11日(中国7月12日)に発売開始となりました。今回も発売日に注文し入手できましたので、FIIO FX15の特徴や実機紹介、レビューしていきます。

はじめに簡単な概要です。FIIO FX15は1DD+1BA+4EST構成のイヤホンです。静電(EST)ドライバー搭載のイヤホンはこのFX15がFIIO初です。さらに静電ドライバーをON/OFFすることできるスイッチが搭載されていてます。またFX15のシェルは久しぶりに3Dプリントが採用されました。

FiiO FX15化粧箱

レビュー総括(Summary)

総括からです。まずFIIO FX15は3Dプリントのシェルによりイヤホンの重さが軽くなり、またイヤホン本体のサイズも大きくないことから装着感はFiiOのイヤホンの中で良い部類に入ります。さらに遮音性も高いです。EST搭載のイヤホンはドライバー数が多いモデルが多く、装着感でハードルに感じている方にはこの点でもおすすめです。次にサウンド面で、FIIO FX15の特徴はやはり高音です。これは高音が全面的に前に出て主役という意味ではなく、ESTドライバーを最大限活かした高音のディテール表現が素晴らしいからです。中高音〜高音における細かな音や空気感のディテールまで感じることができます。これにより楽器やボーカルの声がより臨場感のあるサウンドになっています。高音の抜け感の良いイヤホンとは別の魅力があります。FIIO FX15のサウンドバランスはフラット〜ややV字型に近いですが、低音の量や強さは控えめになっています。低音が欲しい方はイヤーピースなどでの調整が必要となります。またFIIO FX15にはスイッチ機構がありますが、これは静電ドライバーをON/OFFして、静電ドライバーの有無によるサウンドの違いを比較することが目的の機能となっていますので、その比較以外ではスイッチによる遊び要素はありません。

Pros

  • 装着感が良い
  • 静電ドライバーの有無によるサウンド比較可能
  • 低音から高音のつながりが滑らか
  • 高音のディテール表現が素晴らしい
  • 高音に余裕があり、歯の音(刺さり)がない
  • 管楽器などの響きに臨場感がある

Cons

  • 低音が控えめ、高音は刺さりが少ないため、人によってはサウンドの刺激が不足
  • 関連してアタック感やキレは少ない

60秒レビュー

画像 18
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FIIO FX15 発売日・価格

発売日:2023年8月11日(中国:2023年7月12日) 価格:119,900円前後(4999元/749ドル)

販売ページ:Amazon / eイヤホン

FIIO FX15の価格はFiiOのイヤホンの中では現時点で最も高いです。その価格は119,900円前後(4999元/749ドル)です。ご参考までにFX15発売以前で最も高価なFIIOのイヤホンはFH9で、中国現地の正規価格は3999元(日本円換算で約8万円前後)で、日本の販売価格は9万円後半です。そこから予想すると、現在為替がやや円高に持ち直していますが、140円台のままだと10万円を超えてくるので、日本の販売価格は10万円〜11万円後半の範囲内と予想しています。(追記)現在の円安の状況から予想の上限値とやや強気の価格設定となりましたが、FH9と同様に海外価格より1万円〜2万円高くなりました。

製品概要(Overview)

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FIIO FX15の特徴は以下の通りです。

  • 1DD+ 1BA +4ESTのドライバー構成
  • 静電ユニットは20kHz以上の高周波数をサポート
  • 中高域用にはKnowles製ED-29689を搭載
  • 低域用には10mm DLCドームのダイナミックドライバー
  • スイッチを搭載し、静電ユニットのオン/オフが可能
  • 3Dプリント専門の「HeyGears」社と連携したDLP-3Dプリントシェル
  • またシェルの形は人体工学に基づいて設計
  • S.Turbo音響技術を搭載
  • MMCX・224本の8本に束ねた純銀ケーブル

FIIO FX15の特徴はもちろんFIIO初の静電(EST)ドライバーを搭載していることですが、それに加えて、その静電ドライバーをオン/オフできるスイッチが搭載されていることも大きな特徴だと思います。これにより、FIIOも説明している通り、FIIO FX15のスイッチを利用することで、静電ドライバーの有無がイヤホンのサウンドにどのように影響を与えるかを直接比較できるからです。静電ドライバーを搭載するイヤホンはどれも高価ですから、その静電ドライバーの有無が自分自身の好みに当てはまるかどうかを、このFIIO FX15を聴くことで吟味できることは大きなメリットではないでしょうか。また最近のFIIOのイヤホンの多くは金属製のシェルが採用されているのに対して、FIIO FX15は、FA9以来の3Dプリントシェルとなっています。その他はこれまでFIIOが培った技術や素材が適用されています。

同梱物(Package)

FIIO FX15 同梱物

FIIO FX15の同梱物はこれまでのFIIOのイヤホン同様、豪華です。

  • FX15本体
  • 8芯・MMCXアダプター・純銀ケーブル
  • 3.5/4.4の交換プラグ
  • イヤーピースはHS19、HS18、Spinfit
  • イヤホンケーブルクリップ
  • イヤホンケース
  • 説明書
  • Wechat FX15ユーザーグループの招待状(中国版のみ)

外観・装着感レビュー

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まずFIIO FX15のデザインです。今回、フェイスプレートはイチョウ柄となっています。個人的にはこのフェイスプレートのデザインは好きです。これまでのSFアーマーデザインとは対極的なデザインとなっていて、新鮮味もあります。そしてFIIOの説明によれば、「イチョウで満ちる」様子とサウンドのイメージを統一したデザインだそうです。この後、サウンドのレビューでも述べますが、超高域までにわたってディテールの再現に優れたサウンドは、秋のイチョウ並木道のように上も下もイチョウで満たされるように、低域から超高域まで音のディテールまで感じ、まさに音の粒の満ちるサウンドとリンクしています。

次にFIIO FX15の装着感です。FX15は3Dプリントのシェルが採用されています。これまでFIIOのイヤホンで3Dプリントが採用されたのはFAシリーズ(FA7Sを除く)のみです。このFAシリーズもFX15同様にHeyGearsの共同開発でした。そのため今回のFX15もFAシリーズ同様の滑らかな質感と遮音性を持っています。一方でそのFAシリーズと全く同じ形ではなく、イヤホンの形状は更新されています。下の画像をまずご覧ください。涙型の形状から逆三角形型の形状に変化しています。さらに静電ドライバー搭載のイヤホンはシェルのサイズが大きいものが多い中、外径サイズは4BAのFA7くらいのサイズ感に収まっています。これにより耳の圧迫感は少ないです。

FX15シェル比較2
FX15から時計回りにFA7、FA1、FA9
FX15シェル比較1
FX15から時計回りにFA7、FA1、FA9

一方でFIIO FX15のイヤホン本体の厚みは6BA搭載のFA9よりさらに厚くなっています。そのため装着感は良いですが、耳からシェルがやや飛び出します。この厚みの参考としてFH9(6BA+1DD)と比較しました。それが下の画像です。こう見るとほぼFH9に近い厚みになっています。そのためシェルのサイズ感はFA7、厚みはFH9をイメージすると良いでしょう。

FX15 比較3

続いて、FIIOのイヤホンの装着感で影響するポイントとして重さです。FIIO FX15の重さは6.5gと軽いです。参考までに重さを感じやすい金属製シェルのFH9は12.5gですから、FX15はその約半分の重さです。同じ3Dプリントシェル同士ではFA9が6.5g、FA7が5gです。そのため重さではFA9が最も近いです。参考までに金属シェルのFA7Sは8gです。

装着感の結論としてFIIO FX15はFA7に近く、シェルも軽く、サイズも大きすぎないので、静電ドライバー搭載のイヤホンの中では装着しやすいです。ちなみに私は耳が小さい方で少しでもシェルの外径サイズが大きいと装着が難しくなるのですが、今回のFIIO FX15は問題ありませんでした。強いてあげればノズルが比較的、耳の奥に入りやすいため、それが苦手な方はイヤーピースはいくつか試す必要がありそうです。私はHS18のSサイズを使っていましたが、ノズルが深く入るため、さらに小さいサイズが必要で、final Type E for TWSのSSサイズを現在利用しています。final Type Eは低音がやや強調されますが、FIIO FX15のサウドは低音が控えめなので強調されすぎることなく、アタックが増すので相性は良いです。一方でSednaearfit Crystytalやradiusのディープマウントクリアなどの傘に厚みがあり、滑りにくいタイプの場合、ノズルが奥に入りやすことによって皮膚との当たりや摩擦が強く、人によっては耳が痛くなる場合もありそうです。final Type Eのような傘の厚みが薄く、低音が補完できるイヤーピースがおすすめです。

サウンドレビュー

試聴環境:M15S、K9Pro/邦楽を中心に10曲前後/イヤーピースはFiiO HS18

FIIO FX15 2

高音〜超高域の詳細性が高く、臨場感のある響きが特徴

FiiO FX15を最初に聴いたときに感動するポイントは高音のディテールや空気感の再生です。特にトランペットやサックスが編成されている曲では臨場感があります。スカパラと幾田りらの『free free free』やALI BANDの『LOST IN PARADISE』のような曲を聴いてもらうとそのFX15のサウンドの魅力を感じやすいです。加えて高音の鳴り方や響きに余裕があるため、細かな音のディテールまで感じることができます。ただしこれは高音が抜けていくタイプのサウンドではありません。音が鳴る上限が高い位置にあるイメージになります。またFX15の特徴的な機能である静電ドライバーのスイッチをON/OFFすることで、高音域の詳細性や空気感がわかりやすく変化します。静電ドライバーがどういうメリットがあるのかを具体的に実感できるのも一つの魅力だと感じました。

ESTドライバーの魅力を最大限に引き出すサウンドバランス

一方で、FIIO FX15の低音の量や強さは控えめとなっていて人によっては不足していると感じるかもしれません。サウンドバランスはフラット〜ややV字型で、低音が控えめになっていることによってリスニング寄りのバランスというより、ややモニターチックなサウンドとなっています。低音の強いアタックやキレも感じにくい理由になっていそうです。しかしこれにより低音から高音のつながりが滑らか(自然)になっていて、特徴的な高音の詳細性や空気感を感じやすくなっています。高音が前に出て主役というバランスではないものの、DDやBAは補完的なもので、静電ドライバーの魅力や再生能力をユーザーにしっかり感じてもらいたいというような意図を感じるサウンドです。これまで静電ドライバー搭載のイヤホンを持っている方も持っていない方も、ぜひFIIO FX15のスイッチON/OFFを聴き比べてみると新たな発見があると思います。個人的な気づきとして、これまでESTドライバー搭載のイヤホンを聴いた時に感じた中高音の響きはどちらかといえば中音域のBAドライバーの音との重なりがあったと思いました。ESTドライバーは抜け感やエッジ・輪郭のはっきりとした響きはあまりなく、またボーカルがキラキラするという印象ではありません。ESTドライバーの特徴はこのFX15のレビューと繰り返しになりますが、高音〜超高音において細かな音の粒子が詰まっているようなイメージで、細部まで聞き取ることができるサウンドだと感じました。

ライブ音源や女性ボーカルにおすすめ

FIIO FX15をイベントで試聴した時の変化という視点では低音に変化があったように思います。イベントの試作機では低音がもう少し前に出ていて、ボワッとした膨らみが気になりましたが、実際の製品版では低音が控えめとなったことで悪さをしていないです。個人的には非常に好みの方向にチューニングされていて、女性ボーカルの中でもずっと真夜中でいいのに。や幾田りらといった高い声が特徴の曲を聴く私にとって、その高音域を詳細に聴くことできてとても良いです。特にずっと真夜中でいいのに。のライブバージョンでのピアノやバイオリン、ギターなど種類の多い楽器の詳細性はもちろんのこと、ボーカルのハイトーンボイスの余裕のある鳴り方はクセになります。その中でも『残機』のライブバージョンがおすすめです。2:00〜のサビから最後まで続くハイトーンの連続では高音の抜け感の良いイヤホンとはまた別の魅力があります。定番曲では『あいつら全員同窓会』も鳴り方の余裕さを感じることができるのでこちらもリンクを貼っておきます。

【期間限定】ずっと真夜中でいいのに。『残機』(from ROAD GAME『テクノプア』~叢雲のつるぎ~) ZUTOMAYO – Time Left

【期間限定】ずっと真夜中でいいのに。『Spotify “Go Stream” Live』 (ZUTOMAYO – Spotify “Go Stream” Live) *12:28〜からです。

組み合わせは音の粒立ちの良いDACと

最後に組み合わせです。このFIIO FX15の特徴は繰り返しになりますが、高音域のディテール再生です。そのため、BTR7のようなBluetooth接続のDACとの組み合わせはあまりおすすめできません。なぜならBT接続では解像度が落ちてしまうことが多く、FX15の魅力が半減してしまうからです。一方で、KA5のようなより音の粒だちを感じやすいDACとの相性はよく、中高音から高音のきめ細かなサウンドを感じることができます。またK9PROのような高音域にわたって明るくソリッドなサウンドを持つDACとも相性が良いです。これはより自然な響きでディテールまで聴くことができるからです。

FIIOイヤホンと比較して

(追記)FIIO FX15とFH9など他のFIIOイヤホンとの比較での補足です。中国向けのレビューで書いたので少し日本語がおかしいかもしれません。FH9とFX15は全く異なるキャラクターを持っています。 FIIO FX15は、高音のディテールとその空気感の再生に重点を置いています。FX15はFH9に比べると低音がかなり控えめである代わりに、FX15の高音は自然で、その全てを聴き取ることができます。個人的にはFIIO FX15のキャラクターがFAシリーズに近いと思います。これはディテールの再生が重視されているからです。ただし、FAシリーズと比較すると、FX15の低音はダイナミックドライバーにより雰囲気があり、静電ドライバーによる高音はより臨場感を持っています。

以上、FIIO FX15のレビューでした。

その他のFIIO製品レビュー記事へのリンク:FIIO製品レビュー記事一覧

販売ページ:Amazon / eイヤホン

後書き:FIIOイヤホンのケーブルについて

余談ですが、FIIOのケーブルに関する補足です。FIIOではミドルレンジ以上(FIIOの型番で3以上の数字が付く)のイヤホンは基本的にMMCXとなります。直近ではFD11やFH11が独自0.78/2pinを採用していますが、このエントリーモデルでは音質面に多くコストかけるために、低コストな2pinが採用されていました。そのため今後もミドルレンジ以上のモデルではMMCXが採用されるとみられます。

周波数特性(Frequency Responce)

FIIO FX15 スイッチON時のF特性

FiiO FX15 ON

FIIO FX15 スイッチONとOFFのF特性比較(赤線ON/青線OFF)

FiiO FX15 ON vs OFF
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EARL(ライフスタイルDX) 
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EARL

EARLFIIOファン

FIIO製品を中心としたオーディオ情報を発信しています。FIIO製品は専門的に最新情報を最速でお届けすることを目指しています。当ブログではFIIOのイヤホンの全ておよび2022年以降の新製品の多くを購入し、レビューを行なっております。

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