2024年1月にFIIOより2024年新製品計画が公表されました。この記事ではTWS/アダプター(FW/UTWSシリーズ)の新製品について日本語に意訳してまとめていきます。なお、新製品情報だけでなく、計画の背景なども公表されていて、それらの内容も含めてまとめていきます。オーディオ業界の動きなどの解説も面白いですので、ぜひ最後までご覧ください。
*2024年新製品の発売日・価格は断りがない限り、全て中国でのものです。
*これらは全て計画である中止・変更の可能性が多分にあります。
*追加情報があれば、随時更新していきます。
FIIO TWS/アダプター概要
2024年新製品も含めたラインナップ
UTW1やUTWS3への言及はなかったため、アダプターについてはUTWS5のみなる可能性があります。またFW5/FW3は通常の生産・販売を継続するとのことですが、売上が経済性を維持できない場合、生産中止となるそうです。
モデル | 区別 | 発売日 | 価格 |
FW5 | 既存 | 2022年12月16日 | 29,700円前後 (899元) |
FW3 | 既存 | 2023年7月28日 (中国6月17日) | 15,400円 (499元) |
UTWS5 2025 (名称変更) | 新 | 2024年10月25日 | 999元 |
FIIO TWS/アダプター動向
近年最も人気のあるオーディオ製品といえば、間違いなくTWSがナンバーワンです。Apple AirPodsだけの売上が、他のオーディオメーカーの売上、さらには一部のスマートホンメーカーの売上を超える可能性があると言えます。したがって、TWSはスマートホンと同様に革新的な製品と言えます。FIIOもオーディオ専業メーカーとして、TWSのFW1、FW3、FW5、オープン型TWSのJW1、TWSアダプターのUTWS1、UTWS3、UTWS5など、この分野にも多くの努力をしてきました。この中で最も成功しているのはUTWS5です。その主な理由は、オーディオファイルに認められた音質、優れたUI/UX、そしてリーズナブルな価格でこのソリューションを提供していることです。お気に入りのイヤホンを優れた音質のTWSに変えることができます。
一方で他の製品が期待された成功を収められなかった理由は、まず、主なターゲットとなるユーザーは一般消費者であり、Apple、Huawei、Edifierなどのブランドと競合しなければなりません。そしてTWSの中心的な機能は音質ではなく、アクティブノイズキャンセリングです。FIIOは音質向上のため、アクティブノイズリダクション機能を自主的に放棄しました。
ここでは、アクティブノイズキャンセリングの原理と、なぜ良好な音質を実現することが難しいのかを簡単に紹介します。アクティブノイズキャンセリングの原理は非常にシンプルです。音楽信号をM、人間の耳で聞こえる外部ノイズをN、そして人間の耳で聞こえる最終的な音=M + Nと定義します。アクティブノイズキャンセリングは、ノイズキャンセリングマイクを使用して外部ノイズNを拾い、回路を通じてマイナスNに変換してから加算し直します。すると人間の耳に聞こえる音は=M+N+(-N)となります。このようにしてプラスとマイナスが打ち消し合い、人間の耳に聞こえる音は音楽信号であるMのみとなります。これがアクティブノイズキャンセリングの原理です。
ではなぜ音質とアクティブノイズキャンセリングの両立が難しいのでしょうか?
1. アクティブノイズキャンセリングは現時点での技術では外部から収集したノイズ信号と人間の耳で聞こえるノイズ信号が全く同じであることは困難です。そのためアクティブノイズキャンセリングが動作しても完全なノイズキャンセリング効果を達成することはできません。ユーザーにはまだ少しノイズが聞こえます。このノイズは音質を損なう原因となります。
2. アクティブノイズキャンセリング機能のオン/オフにより、TWSイヤホンの周波数応答曲線は変化します。そのためノイズキャンセリングがオンのときに合わせてチューニングを行うと、ノイズ キャンセリングがオフのときの周波数応答曲線は理想的ではなくなります。逆も同じです。このとき DSP を使用して補正することはできますが、TWSのメイン制御チップの能力は依然として弱いです。そのため、良好な補正効果を得ることが困難です。
以上を背景として、FiiOのTWSにはアクティブノイズキャンセリングが搭載されていない理由でもあります。もちろん、今となっては考えすぎだったのかもしれませんが、TWSを購入するユーザーの多くはアクティブノイズキャンセリング機能が常にオンになっているため、アクティブノイズキャンセリング機能がオンになっているときに音質が良ければ問題ないからです。
そしてユーザーからよく聞かれるもう1つの質問として、なぜFIIOのTWSアダプターにはアクティブノイズキャンセリングが搭載できないのかものです。これはアクティブノイズキャンセリングの原理によるもので、外部ノイズを拾うマイクは、拾ったノイズ信号が正確であるために鼓膜に近くなければなりません。たとえば、主流のノイズキャンセリング付TWSのほとんどには、ノイズを拾うマイクが2つ搭載されています。 1つはTWSイヤホンのシェルの上にあり、もう1つは内側にあります。この方法によってのみ十分なノイズキャンセリング効果が得られます。一方で、TWSアダプターにおいて、ノイズキャンセリングマイクはアダプターにのみ設置することになるため、ノイズ収集の精度が十分ではありません。そのためアクティブノイズキャンセリング効果が発揮されにくくなります。もしノイズキャンセリング効果が100以上のTWSに比べて劣ると誰もが不満を口にし、製品の評価は悪くなるでしょう。一部の業界専門家を除いて、ノイズキャンセリングマイクの位置がアクティブノイズキャンセリング効果に及ぼす原理を正確に理解することは困難なのですから。
FIIO 2024年新製品:TWS/アダプター(FW/UTWSシリーズ)
UTWS15
発売日:2024年10月25日 価格:999元
UTWS5は数ヶ月間生産を停止していますが、この製品は非常に競争力があり、市場に競合する製品はありません。このような中で生産中止の理由は、充電接点の腐食問題を解決するためです。社内で多くの方法を試しましたが、解決に至っていません。そこで現在、金属接点を完全に排除し、ワイヤレス充電に変更することを試みています。現在市場にあるこのようなニッチな製品でのワイヤレス充電技術は非常に未熟であり、数も少ないです。したがって、FIIO自身で解決しなければならない技術的な問題がまだ多くあり、さらに言えば使用できる既製のソリューションはありません。2024年夏にはUTWS5の2024年バージョンの UTWS5を開始する予定ですが、時期を保証することはできません。皆さんも理解していただければ幸いです。
追加情報
- 6月に入り、ようやく発売予定が7月下旬と公表されました。名称もUTWS15と当初の型番通りとなっています。
- ついにプロトタイプが公開されましたが、発売日等はまだ発表がありません。無線充電となっています。
FIIO UTWS5 2025最新情報(FIIO UTWS15/UTWS5 ver2024から名称変更)
以上です。
EARL(ライフスタイルDX)
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